∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part44∧∧
『登山中に一休み』
64 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2009/06/11(木) 19:06:38 ID:4DqL1YVL0
後輩の話。
登山中に一休みすることにした。
飲み物でも作ろうとゲータレードの粉末を取り出し、口細の容器に入れる。
それから水筒で水を注いだのだが、いつまで経っても水が満ちてこない。
容器を取り上げた。おかしい、軽いぞ。今かなりの水を入れた筈なのに。
逆さに振ってみると、白いゲータレードの粉だけが地面にこぼれ落ちた。
「ここでは休憩するなってことかな」
そんなことを思い付いたので、別の場所で休むことにする。
谷を一つ越えた辺りまで歩き足し、残った粉と水で作り直してみた。
今度はちゃんと飲むことが出来たという。
『梟がついてくる森』
65 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2009/06/11(木) 19:07:35 ID:4DqL1YVL0
友人の話。
梟がついてくる森があるのだという。
「そこに入っている間、絶えず梟の声が聞こえるんだ。
奇妙なことに、家に帰ってからも気配がする。
電気を落とすと、部屋の何処かでホゥって鳴き声が聞こえるし」
梟の声がする間、彼の家からは鼠の姿が消えたという。
「しばらく経つと梟の気配も声もしなくなったし、鼠も出るようになった。
もう森に帰ったんだろうな」
自分の部屋にも来てくれないかな。少し羨ましく思った。
『山犬』
66 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2009/06/11(木) 19:08:31 ID:4DqL1YVL0
知り合いの話。
彼の祖父はかつて猟師をしていたという。
遊びに行った折に、色々と興味深い話を聞かせてくれた。
「変わったモノが出る山があったな。山というか沢だったんだが。
雨風が凌げる場所があったんで、よくそこで野宿してたんだわ。
これが次の日起きてみると、なぜか鉄砲に歯形が付いてる。
黒鉄で出来た筒にだけ、牙で囓ったような傷痕がな」
「その山には山犬さんっていう賢い御犬様がいて、鉄を嫌っているって話だった。
確かに噛まれるのは鉄砲だけで、他の物は儂らの身体も含め、何の被害も無え。
だからそんな不思議なモノもいるのかもなぁって、そう思ったよ。
そこにゃよく泊まらせて貰ったけど、その近辺じゃ獣を狩る奴ぁいなかったな。
鉄砲撃ちも気を遣っていたのかもしれねえ」
猟の帰りに、獲物の一部を沢に置いて帰っていた者もいたという。
「今はもう猟師専門って奴もいないしよ、あんな山奥まで行くことも無えだろう。
山犬さん、どうしてっかな」
祖父さんはそう言って懐かしそうに目を細めた。
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