∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part41∧∧(実質43)
『鈴の音』
773 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2009/05/30(土) 22:19:35 ID:Q1b1pPHc0
友人の話。
山深い峠道を一人歩いていると、背後から鈴の音が聞こえてきた。
リン リン リン
熊避けの鈴とは音色が少し違っていた。
誰だろうと振り返ってみたが、道上には誰の姿も見えない。
しかし音だけは確実に近付いてくる。
戸惑っていると、いきなりドンッ!と衝撃があって弾き飛ばされた。
大きな生物に体当たりされたような感じだったという。
尻餅を付いて呆然とする彼の前を、鈴の音だけが軽やかに通り過ぎて行く。
ようやっと立ち上がったのは、音が遠く聞こえなくなってからだった。
後日、実家の祖母からこんな話を聞かされた。
「あそこの山には昔から鬼が住んでいるそうだよ。
時々人を獲ってたもんだから、偉い御坊さんに鈴を付けられたんだって。
鬼が近よって来ても、察して逃げられるようにね。
あんた運が良かったよ。
鈴鬼が空きっ腹だったら、獲られてたとこだよ」
・・・この現代に鬼とか言われてもなぁ・・・
そう思いはしたが、それ以来鈴の音にはとても敏感になっているそうだ。
『牛車』
775 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2009/05/30(土) 22:21:47 ID:Q1b1pPHc0
先輩の話。
ほろ酔いで夜の田舎道を歩いていると、先の十字路を何かが横切るのが見えた。
牛車だった。中学生の頃、教科書で見たような外観。
車を引く牛馬の姿は無い。車だけがガラガラと音を立て、夜道を進んでいる。
そのまま山の入り口に差し掛かり、暗い森の奥へと進んで消えた。
お香らしき匂いが残っていたが、それもすぐ薄れてわからなくなった。
そう言えば奥の小山って、昔から女の鬼が棲んでいると言われていたっけ。
そんなことを思い出しながら、のんびり下宿まで帰ったのだという。
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