∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part41∧∧(実質43)
『田圃』
675 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2009/05/26(火) 18:50:21 ID:rfBlirlx0
知り合いの話。
彼の実家の山には、多くの棚田が残されている。
その中に一つ、奇妙な田圃があるのだという。
斜面の真ん中辺りにあるその田は、誰も入らせないかのように太い針金で囲まれており、
畦寄りの場所には石碑みたいな物が二つ建てられている。
碑には時折、御幣のような物が掛けられたり、御供えがしてあったりして、きちんと世話がされている様子。
「あそこはヤメダ(病田)だからね」
気になって実家の者に尋ねたところ、そういう答えが返ってきた。
「あそこで作業をすると、決まって家の者に悪いことが起こるんだ。
かといって、潰してしまうのも恐ろしい。
怒りっぽい誰かが居座っているんだろうと、昔からああやって祀ってるんだよ。
お前もあまり近よらない方がいいかもしれんぞ。
うちの筋なんだから、罰が当てられる可能性がある」
この御時世に信じられないような話だなぁ、そう感じたと彼は言っていた。
信じられはしないけれども、そこに近よることはしないそうだ。
『祠』
676 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2009/05/26(火) 18:51:49 ID:rfBlirlx0
知り合いの話。
彼の住んでいる町の山には、一寸不思議な祠があるのだという。
小さな川を遡った淵、その傍らにある小さな祠だ。
渇水の折などにそこを訪れ、祈りを捧げるのだという。
「そうするとな、その帰り道、目の前に胡瓜が降ってくるんだって。
いや比喩でも何でもない、まんま野菜の胡瓜が、天からドサドサッて。
太くて瑞々しくて、咽の渇きを癒すには抜群らしい。
元々そこの祠は、人じゃなくて河伯が建てたとかいう逸話も伝わってる。
今は水涸れなんてこともなくなったから、胡瓜なんか願う人もいないけどね」
その祠、いつ訪れてみても綺麗に手入れがされているのだそうだ。
『神社』
677 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2009/05/26(火) 18:52:55 ID:rfBlirlx0
知り合いの話。
地元の神社に、変わったモノが出るのだという。
社の片隅に、時々大きなテルテル坊主がぶら下がるというのだ。
神社は山の奥にあるので、パッと見、緑の中に白坊主が浮いているように見える。
昔からオヒアガリさんだの単にヒアガリだとか呼ばれていて、これが目撃されるとしばらく雨が降らないのだと言われている。
彼は幼少時、このオヒアガリさんを間近で見たことがある。
彼曰く、大きなテルテル坊主が見えたので、ずんずん近よっていったのだと。
ある程度よった所で、白い布の下から何か覗いているのに気が付いた。
人間の足首から先が、だらりと伸びていた。
そのまま踵を返し、全速力で逃げ帰った。
以来、その神社の一角には近づかないようにしているそうだ。
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