∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part41∧∧(実質43)
『ペグを打ち込む』
445 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2009/05/18(月) 20:43:53 ID:AVxFT69V0
後輩の話。
登山部に入って、初めてのキャンプに参加した時のこと。
指導を受けながらテントを張る作業に勤しんでいた。
ペグを打ち込む段になったのだが、どうも上手く突き刺さってくれない。
木槌で力一杯に叩いても、弾力のある物に押し返されるような感触が返ってきて、それ以上地中に入ってくれないのだ。
浅い位置に何か埋まっているのかと思い、少しばかり土を攫ってみた。
白く柔らかい物が出て来たので、手で乗っている土を払い落とす。
人間の真白い顔が、そこに露わになった。
目は閉じられている。額に小さな傷があり、血がうっすら滲んでいた。
・・・僕がペグで突いた場所だ・・・
腰を抜かしていると、閉じられた目が見開かれた。
「痛っ!」と小さく叫ぶ。
次の瞬間、顔は幻であったかのように掻き消えていた。
思わずそこを掘り返してみたが、もうどこまで掘っても顔など見つからなかった。
『キャンプ場のトイレ』
446 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2009/05/18(月) 20:45:15 ID:AVxFT69V0
知り合いの話。
彼は時々、子供会のキャンプで引率を担当している。
使っているキャンプ場には大きなトイレがあるのだが、そこで奇怪な体験をしたという。
小用を足していると、古風な小便器が舌足らずな声を発したのだ。
甘~い!
驚いて辺りを探ったのだが、その時便所の周りには彼しか居なかったそうだ。
不気味に思ったが、声の内容が気になってしまい、山から帰ると病院で診断を受けた。
軽度の糖尿病だという結果が出た。
「軽い運動と少しの食事制限で対応できるでしょう。
しかしこの程度なら症状も出ないでしょうに、良く気が付きましたね」
担当医からそう言われたが、事情は一寸説明できなかったそうだ。
『猪』
447 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2009/05/18(月) 20:46:43 ID:AVxFT69V0
友人の話。
ある冬の夜、近所の人が裏山で猪を獲ったという話を聞いた。
ご相伴に与ろうといそいそと出掛け、裏手のカーポートに廻る。
獲れた猪はそこに吊るしてから解体するのが慣わしだった。
既に何人かの顔見知りが到着しており、家の主人を囲んでいた。
黒い大きな猪が、コンクリートの床に転がされていた。
しかし、どこか雰囲気がおかしい。
皆が皆、まるで猪の方を見たくないかのように顔を伏せている。
友人に気が付いた一人が、黙って猪に向かい顔をしゃくった。
その指し示す方を見て、思わず息を呑む。
転がされた猪の四肢の先は、人間の手足とほぼ同じ形状をしていた。
結局、猪は食べられることなく、山に戻され埋葬された。
撃った当人は、それから直ぐに猟を止めてしまったそうだ。
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