∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part41∧∧(実質43)
『遭難した者たち』
276 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2009/05/11(月) 18:51:42 ID:8RTQ33Gr0
友人の話。
彼の住んでいる町は山深い場所なのだが、交通の便が良いせいか、季節によっては大勢のハイカーたちで賑わうという。
毎年のように遭難者が出ているらしい。
大抵は無事に発見されるのだが、時折運悪く死んでしまう人もいる。
遭難した者たちには、奇妙な共通点がある。
生きて還ってきた者も、死んでしまった者も、必ず一様に右足を折っているのだと。
そして決められてでもいるかのように、彼らは皆、六月に災難に見舞われている。
「実はな。あの山って、昔は姥捨てに使われていたらしいんだ。
捨てた老人が帰って来られないよう、右足を潰していたんだと。
町の黒歴史みたいなモンだから、知っている者もほとんどいない話だけど」
二人で久しぶりに飲んだ夜、ポツリポツリとこの話をしてくれた。
『イエティ』
277 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2009/05/11(月) 18:52:59 ID:8RTQ33Gr0
知り合いの話。
彼は何度かヒマラヤ近辺に遠征した経験がある。
イエティ(雪男)とか見たことありますか?
冗談半分でそう聞いたところ、こんな話をしてくれた。
「あそこらのある部族では、熊のことをイエティって名称で呼ぶんだ」
何だ、やっぱりそういうことだったんだ。
少しばかりがっかりしていると、彼は困ったような顔でこう続けた。
「でもな。確かに熊の絵見せたら、これがイエティだって答えるんだけども・・・。
彼らが言うには、イエティは主に二足で歩いて、おまけに片言で話し掛けてくることもあるんだと。
聞けば聞くほどよくわからなくなるよ。
俺たちの知ってる熊と、彼らの言ってる熊って、本当に一致しているのかね」
『必殺』
278 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2009/05/11(月) 18:54:18 ID:8RTQ33Gr0
知り合いの話。
彼の地元の山には、化け物が出る竹薮があるという。
どんな姿格好をしているのかはわからない。
目撃した者が皆死んでいるから。
見つかった死体はどれも、恐れて引きつったような顔をしていたそうだ。
外傷は特に見当たらないのだという。
大の男が二人まとめて死んでいたこともあったらしく、誰もそこに近よらなくなって久しいという。
「人が入らなくなったのが戦前のもっと前だっていうから、かなり昔の話だよ。
今でも地元の人間はそこに近よらない。
まぁ、元から通う便も悪くて寂しい所だったみたいだからね。
好き好んで行く者もいないんだろう」
化け物には名前が付けられていたという。
「ヒッサギ、そう呼ばれてた。
必殺と書いてヒッサギと読むんだって。
この辺りじゃ戦時中、竹槍のことをヒッサギヤリなんて言っていたらしいよ」
面白いだろという表情で、そう話してくれた彼だった。
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