怖い話&不思議な話の投稿掲示板
投稿者「茉莉花 ◆YKNRA59o」 2018/12/01
夫は「駐車場で見つけやすいから」という理由で、歴代の車のナンバーをすべて1234(仮)に統一している。
私の現在の車は夫のお下がりで、なので当然ナンバー1234(仮)。
この車、満車の駐車場でもすぐに見つけられるのは確かなのだが、いかんせん目立ちすぎる。
夫は自営業でなんでも話のネタにするため、あっという間に、「ナンバー1234(仮)の車は、〇〇屋さんの奥さん」というのが、お客さんの間で広まってしまった。
「奥さんの車、さっき××スーパーで見ましたよ」
「ああ、今日特売ってはりきってたから」
みたいな感じだ。
あまり気にしていなかったが、そのうち不思議な目撃談が立つようになってきた。
「昨日夜遅く、奥さんの車とすれ違いましたよ」
「昨日の夜は、一緒に家にいたけどなぁ」
とか、
「さっき、奥さんの車コンビニに停まってましたよ。今日休みなんですね」
「朝仕事に行ったけどなぁ」
みたいな感じだ。
だいたい私のアリバイがしっかりしていることが多く、変な疑いがかけられることはなかったので、夫も私もお客さんの見間違いだろうということにしていた。
ところが。
ある日仕事中に、夫から着信があった。こっそり出ると「今どこ?」と言う。
「どこって、仕事中だよ」
「だよなぁ ……今、お前の車が目の前走ってんだけど」
「はぁ? んなわけないでしょ」
「いやでも、ナンバーが一緒で…あ、曲がった」
電話の向こうで方向指示器の音がする。どうやら追跡しようとしているようだった。
仕事中に馬鹿げた電話してきて! と、普段ならイライラしそうな状況なのだが、なぜかそのときは不思議なほどの不安を感じていた。
「あ、なくなった…」
「それ、本当に私の車?」
「だってあのナンバー、間違えないだろ」
そう言いながら、夫の声がだんだん小さくなる。私と同じ気持ちになったのだろう。
「つかまえなくてよかったのかもな」
それでそのときは電話を切った。
普段なら見間違い勘違いですますようなことだけれど、、なぜかこのときは、夫が見たのは確かに私の車だったんだろうという、嫌な確信があった。
ちなみに、一応職場の駐車場も確認したが、今朝乗ってきた車は、当たり前のようにそこに停まっていた。
ドッペルゲンガーを見かけると死んでしまうというが、車のドッペルゲンガーの場合はどうなんだろう?
車だけが壊れるのだろうか、乗っている私ごとだろうか。
とりあえず、自分自身が私の車を目撃することがないよう、祈りながら毎日通勤している。
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