∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part41∧∧(実質43)
『光るもの』
38 :元登山者:2009/04/30(木) 21:43:04 ID:N25dTX+t0
田舎でお年寄りから聞いた話です。
その人の家は豪農で、田植え時期には手伝などで大忙しだったそうです。
毎年、田植えの前には、田んぼ沿いにある山の祠にお供え物を持ってお参りし、豊作を祈っていたそうです。
戦前とのことだったので、60年以上前だと思います。
その年もお供え物を持って行き、畦道を一人帰っていました。
春とはいえ、山村の日没は早く周囲は薄暗くなっていました。
当時まだ少年だった老人は急ぎ足で帰っていると、田んぼの真ん中あたりで光るものを見たそうです。
「なんじゃろ?ありゃあ」と思い、眼を凝らしていると、牛のようです。
牛が光りながら田んぼの真ん中にいたそうです。
「えらいものを見た!」と思い何度もコケながら家に帰り、
前祝で大騒ぎをしている大人たちに見てきたものの一部始終を話すと、宴席は静まり、とりあえず解散となったそうです。
老人も「早く寝ろ」と両親に言われ、宵の口から床につきましたが眠くありません。
布団の中でぼーっとしていると、隣室から両親の声で、
「今年は不作かもなあ・・」「前は冷害だった・・・」と聞こえてきました。
その年は不作だったそうです。
老人はその話をしながらいいました。
「結局、あの光る牛の正体はわからなんだし、見ちゃいけんもんだった。
でも、綺麗だった」
綺麗なものには毒があるということなのでしょうか?
『牛小屋』
47 :元登山者:2009/05/01(金) 00:17:23 ID:f/R6z3OS0
田舎で同級生から聞いた話。
彼の家は牛飼いで、今でもたくさんの牛を飼っています。
夜は牛を牛小屋に入れるのですが、翌日になると怪我をしている牛が時々いたそうです。
引っかいたような傷があったり、噛まれたような不思議な傷だったりと、獣に襲われたような感じだったそうです。
小屋を点検しても狐なんかの穴はなく、小屋自体も新しく建てたものだったので壊れているところはありませんでした。
牛小屋と彼の家は離れているので、夜通し見張ることはできません。
ある日、彼は不寝番に立つことにして牛小屋に泊り込みました。
敷物や毛布を持ち込み、小屋の隅っこで寝転んだそうです。
あたりは真っ暗になり、いい加減に眠くなった彼は、電気を消し寝ることにしたそうです。
疲れていたのか、直ぐに眠ってしまったそうです。
どれくらい経ったか、なんだか小屋の中が騒がしいのに眼が覚めました。
牛が騒いでいるようです。
「なんだ?もしかして・・・犯人か?」と思った彼は、懐中電灯と木刀を持ち騒ぎの方へ行ってみると、
一頭の牛が尻を振るように暴れています。
ちらっと見えた限りではサルのように見えたそうです。
「コラッ、なにしよるんじゃ!」と怒鳴り、懐中電灯を向けると、そのサルのような生き物は彼のほうを向きました。
なんとも形容しがたい生き物だったそうです。
大きさは大人のサルくらい、毛は黒くヌメっとしたような感じで、長い爪と歯が見えたそうです。
思わずウゲっと思い、たじろいだ彼に、「ケーっ」と言った感じの鳴き声のような悲鳴のような声で鳴くと、
牛から離れて壁へ取り付き、屋根にある通気孔から外に出て行ったそうです。
48 :元登山者:2009/05/01(金) 00:26:41 ID:f/R6z3OS0
気持ち悪いのと驚いたので唖然としていたそうですが、
またアレが来ると思うと気味が悪く、小屋の電気を全部つけて朝を待ったそうです。
日が昇り彼の両親や従業員が来ると、昨晩の一部始終を話しました。
すると従業員の一人に似たような話を知っている人がいました。
その生き物の名前はわからないそうですが、灯りが発達してなかった昔は時々牛を襲っていたそうです。
子牛などは食い殺されることもあったとのことでした。
どこから来るのか、何が苦手なのか等もよく解らなかったそうなので、とりあえず小屋を改装して鍵を付けたりしたそうです。
「とにかくよ、気持ち悪かったわ。
入って来ねえように鍵付けたし、通気もファン付けて入れねえようにしたけど・・・なんかなあ」
彼はそう言って締めくくりました。
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