∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part41∧∧
938 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2009/03/24(火) 21:12:56 ID:WZDMLMy80
知り合いの話。
彼はかつて漢方薬の買い付けの為、中国の奥地に入り込んでいたことがあるという。
その時に何度か不思議なことを見聞きしたらしい。
随分と深い山奥の邑で、奇妙な古物を売り付けられそうになった。
古い古書のようで、その昔、遙かに離れた平野部から持ち込まれた書物だそうだ。
『あんた、その筋に顔が広いだろ。
儂らには意味のないモンだが、欲しがる奴がどこぞにいるかもしれん』
売り主の老爺はそう言ってきた。
中を改めさせて貰ったが、とても彼が読めるような物ではなかったらしい。
ただ図が簡略ながらも併記されていたので、
生薬や土をある溶液に混ぜ溶かして、何か薬の類を作るのであろうとは想像がついた。
最後まで読み進めて首を傾げた。
内容物を漉して取り上げるところで記述は終わっている。
それをどうやって薬の形にするのかは記されていない。
「最後は尻切れトンボですかね?」
そう口にしたところ、あっさりと否定された。
『違う違う。漉して残った物は単なるゴミだ。
これは薬を作るんじゃなくて、ある特殊な水を作る為の手引きなんだとさ』
939 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2009/03/24(火) 21:14:13 ID:WZDMLMy80
「なるほど、用があったのは上澄みの水でしたか。どんな効能があるのです?」
『これを畑に撒いてから作物を作るだろ。
そうやって作られた物を食べると、○○邑出身の者だけが死ぬんだと。
他の邑で生まれ育った者には、まったく何の効果も無いそうだ』
「・・・それって本当でしょうか?」
『さあな。そう伝えられているだけだから、詳細は知らない。
大体、○○邑ってのがどこにあるのかも皆目わからんし。
どうかね、やっぱり金にはならんかね?』
確とした返答は出来なかったそうだ。
「もし書かれていたことが本当であるなら、恐ろしいことです。
身体を構成する何らかの条件を狙い撃ちする薬効、そんなものが作れるということになりますから。
ちょっと呪術めいてますけどね」
数年後、再訪した際にもう一度見せてほしいと頼んでみた。
しかし古書は既に売られていたのだという。
どこの誰が買っていったのかまではわからないそうだ。
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