∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part41∧∧
850 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2009/03/18(水) 20:33:44 ID:bm7imf4m0
知り合いの話。
彼はかつて漢方薬の買い付けの為、中国の奥地に入り込んでいたことがあるという。
その時に何度か不思議なことを見聞きしたらしい。
ある寒村に停泊した夜、不気味な声を聞いてしまった。
若い女が、悲痛な叫びを延々ひしり上げている。
泣いているような、笑っているような、何とも言えず不気味な声音。
あれは何だろうと世話になっている家人に聞いてみたが、黙り込んで首を振るばかり。
詮索はしない方がよい類のモノかと思い、しつこくは問わなかった。
夜も更けてきたので、寝る前に用を足しておこうと、庭の隅に作られた便所へ向かう。
いきなり、間近であの叫び声が響いた。
ギョッとして屋根を見上げると、白い毛玉の塊みたいなモノがそこにいた。
仰天して動けないでいる内、それはバッと綿塊のように見える物を拡げて消えた。
飛び去ったのか。いやそれにしては、突然姿が掻き消えたようにも見えたが・・・。
サッサと用事を済ませ、転がるように屋内へと戻る。
彼の話を聞いた家人は、険しい顔をして戸締まりを確認し始めた。
『お前さんが見たのは子獲りの化け物だ。くそ、家の孫を狙っているのか』
彼は妖怪にもそれなりに造詣があるそうで、姑獲鳥という妖怪を連想したそうだ。
851 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2009/03/18(水) 20:34:40 ID:bm7imf4m0
その化け物について尋ねてみると、家人は次のように答えてきた。
『化け物には間違いないが、鳥なんかじゃない。
元々はこの村の女だったんだよ。
多情な質だったみたいでね、旦那との間に子供を沢山作ってた。
これが可哀想なことに、一人っ子政策が始まってから、出産した子供をすべて取り上げられちまったんだ。
当時の党役員が悪い奴でね、子供の頭数にとんでもない額の税金を掛けたんだと。
払えない家の子供は、どこかへ連れてかれたって話だ。
見せしめだったんだろう。
中央から遠いこんな山の中じゃ、道理も法も通らねえ。
子供たちがどうなったかって?
とても知りたくはないね』
『残された女は物狂いと化して、やがて子を獲る化け物に成り果てちまったってよ。
昼間は山に籠もってて、夜になると村に下りてくるんだ。泣き叫びながら。
俺もこの由来を爺さんから聞かされた。
結構昔の話なんだけどな。
なのに、あの叫びは今だに続いてやがる』
その後も叫び声は家の周りで続いていた。
寝床の中でそれを聞きながら、物悲しい思いに駆られたという。
853 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2009/03/18(水) 20:51:49 ID:bm7imf4m0
こんばんは、雷鳥です。
引き続き中国で見聞きした怪しい話です。
話をしてくれた人が草だの虫だのを求めて山中に入り浸る人だったんで、何でかこんな話が集まってしまいました。
うーん我ながら、ちょっと毛色の違う話だとは思うのですが。
ま、これも一つの山ネタであるってことで。
しかし一人っ子政策の引き起こした悲劇って、結構あるみたいですね。
去年も確か、広東省の近くの県で子供数ノルマの強制による暴動が起きていましたし。
いやまぁ、実際に見聞きした人の言によると、アレはトンでもなく酷かったらしいですが。
道を歩いていた女性を拉致して、強制的に不妊手術をしたり、子供の多い家の子をどこかへ攫ったり、ノルマを守れない家を強襲して家財道具を強奪したり…。
ディックの短編小説で「まだ人間じゃない」ってのがありました。
12歳だか14歳まではまだ権利を有した人間じゃないって理論で、
“生後堕胎”なる虐殺が行われている未来社会を描いたSFでしたが、現中共はこれを地でおこなっていた訳です。
想像は現実を超えられないというか、生きている人間はトンでもないことを平気で実行できるんだなぁ、と暗澹たる思いです…。
ちょっと書く気になれないような話も聞いております(汗)。
でも都市部では、結構子沢山な人が多いんですよねぇ、実際。
違反金というか、お金を出せば何とでもなるみたいで、
子沢山であればあるほど裕福な家柄だとして、一種のステータスになっているんだとか。
格差が酷いんでしょうねぇ…農村の中の人たちに幸あらんことを。
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