∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part41∧∧
452 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2009/03/06(金) 00:20:57 ID:Lc2t3NlD0
知り合いの話。
持ち山の手入れをしていると、時々奇っ怪なことに出会すのだという。
プンと酒の匂いだけが、目の前をつらつら横切って行く。
タプンと、液体の揺れる音が聞こえることもある。
感じられるのは匂いと音だけ、他には何の姿も見えないそうだ。
「うちの山の天狗さん、本当に酒好きなんだから」
彼の家では代々そう言われている。
453 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2009/03/06(金) 00:23:03 ID:Lc2t3NlD0
友人の話。
彼の故郷の山では時々、冬になると不思議な光景が見られる。
雪が積もった林の中、何故か一ヶ所だけ、白で覆われていない場所がある。
近よってみると、大人数人が車座になって座れる程の黒い円が出来ている。
円の中は初めから積雪しなかった様子で、黒土が剥き出しだ。
手をやると仄かに暖かい。
そして必ず、快い酒の香りが立ち上っているという。
天狗が酒盛りをしていたんだ。
昔からそう言われているそうだ。
454 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2009/03/06(金) 00:24:24 ID:Lc2t3NlD0
友人の話。
神社の境内を掃除していると、上空の高みから声がした。
アーーーーッ!?
誰かが酷く驚いている様子。
こちらも驚いて見上げたが、曇天の中何も変わった物は見えない。
その時、サーッと濡れた飛沫が境内一面に降りかかった。
一瞬、酒精の香りが鼻を湿らし、すぐに薄れて消えてしまう。
聞けばその地方では、よく酒の匂いがする霧雨が降るという。
「奥山の天狗さんが酒買って帰る途中、うっかり落としちまったんだろうな」
「それはさぞかし残念だったろうな」
そんな会話を交わすと、二人で笑いあった。
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