∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part41∧∧(実質42)
『一人用のテント』
560 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/04/13(月) 23:54:52 ID:hRuSiG890
山仲間の話。
大学で参加した登山サークルに、Kさんという先輩がいたという。
Kさんは何故か皆に避けられていて、いつも一人用のテントで過ごしていたらしい。
気になって他のサークルメンバーに事情を聞いてみたが、誰に聞いても同じ返事が返ってきた。
「あの人はあれでいいんだよ」と。
仲間外れはいかんだろうと思い、その後のキャンプでKさんのテントにお邪魔することにした。
入口で声を掛けようとし、慌てて口を閉じる。
中から、Kさんとは明らかに別人の声が聞こえてきたのだ。
それも複数人、ボソボソとたわいもない会話を交わしている。
一人しか入れない小さなテントの前からジリジリと後退し、仲間の元へとって返すと、今あったことを訴えようとした。
仲間たちは渋い表情で遮った。
「言うな。言えば確認しなきゃならなくなる」
結局、Kさんが卒業するまで、誰もそのことには触れられなかったのだという。
『タタリバ』
561 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/04/13(月) 23:55:55 ID:hRuSiG890
知り合いの話。
まだ彼が杣人見習いだった頃、先輩の職人に助言されたという。
「まず○○谷では休憩しないようにしろ。夜を過ごすなんて以ての外だ」
どうしてその谷はいけないのか聞いてみた。
「彼処はタタリバだから。
あんな所で一服すると、普通見えないモノが見えるようになる。
見えちゃいけないモノがよ。
そうなると山で働くのはキツイぞ」
お前、行ってみるか?
ニヤリと笑いながら、彼は私にそう聞いた。
『そこに登って死んではならない』
563 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/04/13(月) 23:57:22 ID:hRuSiG890
知り合いの話。
彼の地元には一つ険しい峰があった。
「そこに登って死んではならない」という約束事が厳しく守られていたという。
そこに入る時は必ず複数人で登り、事故等の不幸があった場合にも、すぐに遺体を近場の谷地に降ろせる態勢で臨んでいた。
「前みたく山の神サァに、人の味を覚えられると困るからの」
そうこぼした祖父の言葉が気にかかったが、一体過去にどんなことがあったのかは終に教えてくれなかったそうだ。
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