∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part41∧∧(実質42)
『休憩しようと腰を下ろした』
529 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/04/12(日) 22:17:57 ID:vbdawxBW0
友人の話。
峠道を一人歩いていて、休憩しようと腰を下ろした。
一息ついた次の瞬間、突然強い不安に襲われた。
心拍数が上がり、動悸が激しくなる。
何事か起こる予感がして顔を上げると、目の前の夾竹桃の花が一斉に落ちた。
同時に動悸は治まり、得たいの知れない不安も去った。
地面に散らばった花弁を前に、暫し呆然としたのだという。
『うおん』
530 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/04/12(日) 22:18:46 ID:vbdawxBW0
仕事仲間の話。
山道を歩いていると、何処からともなく音が聞こえてきた。
うおん うおん
誰かが唸っているような、そんな音だったらしい。
辺りを探っても音の出所はわからなかったので、そのまま気にせず山を下りた。
自治会のお爺さんに話したところ、こう言われたという。
「近々スズメバチが家に巣を掛けるぞ。注意しろ」
お爺さんによると、あの「うおん」という音は蜂の羽音であり、彼が聞いたのはその前触れだというのだ。
半月後、本当に蜂が家に巣を作り始めたので、慌てて駆除したそうだ。
以来、彼は蜂の羽音に非常に敏感になっている。
『夜桜』
531 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/04/12(日) 22:19:29 ID:vbdawxBW0
友人の話。
春になると彼はよく叔父と連れ立って、夜桜を見に山を登っている。
その時、叔父は決まってあることをする。
余分な猪口一つに酒を注いで、外れの方に置いておくのだという。
何でそんなことをするのかと過去に聞いたことがある。
「お裾分けだ」
叔父はそう答えただけだった。
花見を終えて帰る頃、猪口は綺麗に空となっているそうだ。
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