ほんのりと怖い話スレ その23
『ナメクジ』
102 :本当にあった怖い名無し :2005/03/28(月) 21:35:04 ID:2dPoLN2W0
西洋の怪奇短編集の編者あとがきで読んだ話。うろ覚えでごめん。(本のタイトルも失念)
編者の高校の漢文の先生が若いころ、
散歩の途中で一匹のナメクジが、じっと前方の樹を見つめているのを見つけた。
はて、こいつはどうしようというんだろうかと見ていると、
いつの間にかナメクジの体の周囲に靄のようなものが立ちはじめ、やがてナメクジは靄の中に隠れて見えなくなった。
どうなるのかとなおも見つめていると、
靄の中から一条の細い光の糸のようなものがするすると伸びて、その先端が前方の樹の幹に達した。
ふと見ると地面にいたはずのナメクジが消えており、いつの間にか樹の幹に移動しているではないか。
「ほう、知らなかった。ナメクジはこうやって移動するものなのか」
と先生は感心したが、そのことを他人には言わなかった。
それから何年も経って、ある寄り合いで「錯覚だったのかもしれませんが…」と、若いころの自分が見た話を披露した。
寄り合いが終わり、帰りかけると、参加者の一人が先生のところに来てこう言った。
「ナメクジの話をされましたね。だれにも話していないんですが…実はそれ、私も郷里で見たことがあるんです…」
104 :本当にあった怖い名無し :2005/03/29(火) 00:32:32 ID:iZ0orDP70
>>102
その本は「怪談の悦び」(創元推理文庫)、
件の教師は板谷菊男氏。
「天狗童子」という短編小説集も出しておられる。
『留守』
189 :本当にあった怖い名無し :2005/04/03(日) 01:02:19 ID:3T1lQ24t0
今年の1月、うちにたまたま祖母の友人がやってきた時の話。
その人は庭を通って玄関の前まで来たのだが、留守なのか誰も出てこない。
どころか、来客のたびに吠えまくる犬の鳴き声すら聞こえない。
留守だろうかと考えていると、庭に面した大窓のある部屋(因みに俺の部屋)に初老の男性が立っていた。
彼は窓ガラス越しにその人を見ており、そして窓を開ける事すらせずに部屋の中から「この家の人達は皆出かけていますよ」と言ってきた。
祖母の友人は『ちょっと変だな』と思いながらも、留守を頼まれた親戚か何かだろうと思い帰ったのだそうだ。
・・・が。我が家の誰もそんな人物に心当たりはないし、そもそもその時期に家が完全に留守になった事もない。
初老の男性といったらうちには父しかいない(祖父は既に他界)がその人は父を知ってるし、父本人にも覚えが無いし。
というかそもそも窓ガラス越しに客の対応なんかしない。
更に元お隣さんな人なので、家を間違えたともちょっと考えにくかったりする。
ついでに言えば家に誰か侵入したような形跡も、盗まれたものもない。まあ泥棒が客の応対するとは思えんが。
因みに友人に話してみたら、そんな話を夕食時の笑い話にして楽しむお前ら家族の感性が一番怖いと言われてしまった。
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