∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part40∧∧
『山の神の日』
561 :聞いた話 ◆UeDAeOEQ0o :2009/02/08(日) 22:49:44 ID:TJdslG2F0
森林組合の職員に聞いた話
その地方では、毎年1月12日は山の神が木の数を数える日なので、
「山の神の日」として、何人も入山しないしきたりとなっている。
山の神の日には不思議と雪が降らない、と言われている。
神さまが木を数えやすくするためだ、ということらしいが、
それでも、稀には山全体が雪に覆われるような年もある。
そんなある年、1月13日の夜明け前に雪景色の山に入ると、
小さな裸足の足跡が、そこかしこに残っていたことがあった。
ただ、日が昇ってからもう一度行ってみると、
雪は溶けていないのに足跡だけが消えていたそうだ。
『ヘリコプターで山の上を飛んでいる最中』
562 :聞いた話 ◆UeDAeOEQ0o :2009/02/08(日) 22:51:33 ID:TJdslG2F0
吉野地方では木を搬出するのにヘリコプターを使うことがある。
そういう仕事を請け負っている会社の操縦士に聞いた話。
ヘリコプターで山の上を飛んでいる最中に、
山中に独りたたずんでいる女性を、何度か見かけたことがある。
林道から遠く離れた木立の中、冬でも白い半袖の服を着て、ひっそりと立ち尽くしている。
爆音を立てて飛び回るヘリコプターには見向きもせず、
じっと木を伐採している現場の方を見つめているそうだ。
『和装の女性』
563 :聞いた話 ◆UeDAeOEQ0o :2009/02/08(日) 23:01:04 ID:TJdslG2F0
杣人のKさんから聞いた話
山での仕事を終え、仲間と道端で一服していると、
上方の斜面を知人のEさんが下っているのが見えた。
奇妙なことに、和装の女性がぴったりと後ろに寄り添っている。
Eさんは、ヒョコヒョコと妙な歩き方で、杣道も通らずに斜面を真っすぐ突っ切ってくると、
急勾配の法面を転がり落ち、最後は道路にどさりと横たわった。
女性のほうはというと、木立が途切れたあたりで立ち止まり、
Kさんと仲間がEさんの方へ駆け寄るのを見届けると、ヒラリヒラリと山の奥へ斜面を登って消えた。
「おい!大丈夫か!」
Kさんが声を掛けたが、Eさんは気を失っており返事もしない。
とりあえず車に乗せ、そのまま病院へ担ぎ込んだ。
診断の結果、Eさんは足を骨折していたことが分かった。
玉切りしている最中に転がった大木に足を挟まれてしまい、
激痛で動くこともできず、その場で気を失ってしまったらしい。
その後の記憶は全くない、ということなので、
Eさんは意識が無いまま、斜面を数百m下ってきたことになる。
また、診断した医者によると、Eさんの足は「平地ですら歩くのは困難」な状態だったらしい。
「山の神さんが俺を助けてくれたんだろうな…」
Eさんは、病院のベッドで不自由な足をさすりつつ、山の方向に向かって無言で頭を下げた。
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