∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part34∧∧
『登山グループ』
822 :オマージュ ◆DCEejEYaj2 :2007/08/18(土) 00:38:40 ID:j+Pb93iO0
ある登山家の話
登山中、別のグループと出会った。
そのうちの一人は土気色をして、別の仲間に背負われていたそうだ。
(病気か。しかし、背負う仲間もずいぶん辛いだろうな)
そう思ったが何もしてやれず、お先に、とグループを追い越した。
直後、後ろで悲鳴が聞こえた。
落ちた! 誰かが叫んでいた。 なんてこった!・・・
彼が引き返すと、遥か下方に、四肢があらぬ方向に曲がった小さな人影が見えた。
辺りを見回すと、先ほどの二人がいない。
(足を滑らしたか。気の毒に。)
彼がその人に声をかけ、話を聞いたところ、妙なことが判明した。
滑落したのは一名だった。具合の悪い者など、誰もいなかったという。
『滝』
823 :オマージュ ◆DCEejEYaj2 :2007/08/18(土) 00:39:45 ID:j+Pb93iO0
川遊びに行った男の話
滝を眺めていたら、てっぺんに男が立っているのが見えた。
なにやってんだ、危ねぇな。
彼がそう思った直後、男は倒れるように滝の上から身を投げた。
二度、三度、崖にぶつかり、滝壷に水しぶきを上げて落ちた。
慌てて現場に駆け寄ったが、男の姿はない。
しばらく辺りを探したが、何も見つからず、首を捻って帰路についた。
道すがら、車が滝を見下ろせる場所さしかかると、先ほどの男が滝のてっぺんに立っていた。
男は同じ軌跡を描いて、滝壷に落ちていったという。
『死んだ妻』
824 :オマージュ ◆DCEejEYaj2 :2007/08/18(土) 00:40:42 ID:j+Pb93iO0
やもめ男の話
山を歩いていると、若い女が立っていた。
死んだ妻だった。
彼が呆然としていると、女は背を向けて森の奥に歩いていく。
慌てて女の後を追いかけた。
藪を掻き分け、どれくらい走っただろうか。
女が立ち止まった。
その肩に手を伸ばそうとした瞬間、彼の耳元で悲痛な声が響いた。
わたしじゃない!
はっと手を引っ込めると、自分が崖の縁に立っているのに気付いた。
宙に浮いた女が振り返った。目も口もない真っ黒な顔だった。
その姿は滲んだかと思うと森の闇に紛れて霧散したという。
まったく、あなたったら・・・
山を降りる間、懐かしいぼやき声が、耳のそばで聞こえていたそうだ。
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