∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part33∧∧
『山で獲物を追っていた』
182 :元登山者:2007/04/08(日) 14:25:55 ID:7eNNPn8i0
田舎で聞いた話です。
老人から聞いた話なので、昭和初期か大正頃の話だと思います。
ある猟師が山で獲物を追っていました。
足跡や通った跡から考えると、かなり大きな熊のようです。
当時、熊の胆は漢方薬として高値で取引されていたので、その猟師は「これは良い儲けになる」と思い、
広い山の中を二日間も獲物を追っていました。
二日目の夜、獣が警戒するので焚き火も出来ず、
茂みの中に身を隠して手持ちの食料で夕食を済ませましたが、一向に空腹が収まりません。
空腹と、いつまで経っても姿を現さない獲物に対する苛立ちで、
その場にゴロンとなり「あ~あ、干し肉ちょっとじゃ腹の足しにもならん」とつぶやくと、
どこからか声がしました。
「うん、確かに。ワシもお前だけじゃあ腹の足しにならん。あっちの方を食うとしようか」
と、山のどこからか、野太いような地響きのような声がしたそうです。
猟師はそのまま恐怖で固まってしまい、翌朝、日が昇るまで動けなかったそうです。
日が昇り、あたりが明るくなったころ、猟師は帰ろうと来た道を戻っていると、茂みに熊がいました。
「もしや、俺の追っていた熊か?」と思い、銃を構えましたが、
その熊は動きもせず、なんとも様子が変だったので、石を当てると倒れてしまいました。
「死んでいたのか?」と近寄ってみると、中身が無くなって皮だけになった熊の死骸だったそうです。
猟師は昨日の声を思い出し、大急ぎで逃げ帰ったそうです。
『ハニーピーナッツとウイスキー』
425 :元登山者:2007/04/14(土) 18:55:59 ID:skM73Ipk0
私の体験した話です。
大学生頃、一人で泊りがけの登山にでかけました。
あまり行った事の無い山だったので、地図を見ながら縦走していました。
初夏の日も傾き、そろそろキャンプ地を探そうと思っていた時、
水の流れる音が聞こえたので音のする方向に行ってみると、小さな沢がありました。
その横にはちょっとした平地もあり、キャンプするには良いと思い、そこにテントを張り夕食を摂ると、
少し肌寒くなったのでテントの側で焚き火をしながら、持ってきたハニーピーナッツを肴にウイスキーを飲んでいました。
ほろ酔い気分になり、気分も良かったので「ああ、うまいな~」といいながら飲んでいると、
「そんなに美味いのか?」と、どこからか声がしました。
「ええ、うまいですよ」と答えたのですが、「ん?」と思い、「誰かいるんですか?」と言ってみましたが、
返事は無く、その辺りを見回しても誰もいる気配はしません。
「飲みすぎたんだろうか?」と思い、後片付けをすると、テントに戻り寝ました。
427 :元登山者:2007/04/14(土) 19:07:46 ID:skM73Ipk0
飲んだのもあってか、寝袋に入ると直ぐに寝入ってしまいました。
しばらくしてから、ふと目が覚めました。
時計を見ようと腕を動かしましたが、動きません。
金縛りにあったのか?と思い、体中を動かそうとしましたが、
動くのは視線だけで、その他は全く動きません。
何かがテントの中にいるんだろうか?
そう思い目線を動かしていると、隅に置いたザックが目に入りました。
そのザックの前に誰かがいて、中を漁っているようです。
その誰かは、目当ての物が見つかったのかテントの入り口とは反対の場所から出て行き、
何かを飲むような音を立てて、「ふーっ」と溜息をついていました。
あ、酒取られたなあと思っていると、いつの間にか寝てしまいました。
翌朝、起きてからザックを確認すると、ウイスキーが瓶ごとありません。ハニーピーナツもなくなっています。
「やられたか」と思い、テントから出ると、入り口とは反対側に空瓶とピーナツの空き缶が落ちていました。
そこの砂地には下手な字で『確かにうまかった』と書いてありました。
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