∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part28∧∧
『神隠し』
736 :オマージュ ◆DCEejEYaj2 :2006/08/22(火) 23:13:33 ID:T7pQa7RL0
ある女の話
幼少時、雑木林で遊んでいた時、友達の男の子が行方不明になったという。
女性は、その子が消える瞬間を目の辺りにしたそうだ。
男の子が、振り返って、驚いた様な表情を浮かべると、女性を指差して、
「あっ・・・」と言ったきり、空気に溶けるように消えてしまった。
「でもね」女性は言う。
「子供の頃の記憶でしょう。曖昧なのよ。その記憶だけはやけに鮮明なんだけど・・・」
最近、それを思い出していろいろ調べた結果、ある事実がわかった。
彼女は養子だったそうだ。
そして、彼女の育て親は既に亡く、幼少時の女性の過去を知る人は誰もいなかった。
「神隠しに遭っていたのは、私だったんじゃないかって思うの」
女性は盃を飲み干すと溜め息をついて、笑った。
『ニコチン中毒の爺』
738 :オマージュ ◆DCEejEYaj2 :2006/08/22(火) 23:15:29 ID:T7pQa7RL0
ある男の話
ニコチン中毒の爺がいた。
肺癌を患っていたが、タバコを止められず、手術しても意味が無いと医者に見放されていた。
山に爺と仕事に行き、タバコをせびられた男は爺に尋ねてみた。
「虫がな・・・」
爺は血走った目で、何も無い空間を手で払いのけた。
「タバコが切れるとな・・・・虫が寄って来るんだよ」
たまたまタバコの持ち合わせが無く、爺は地団駄踏んで悔しがったという。
タバコを買ってくる、というと独り山を降りてしまった。
爺の家族から、まだ帰宅してないと連絡を受けたのはその夜だった。
翌朝、山狩りに参加した男は、沢に落ちている酷く損壊した死体を見つけた。
「獣にでも喰われたんだと思うが・・・」男は渋い顔をした。
白いアバラ骨をさらした爺だった。
真っ黒な肺は無傷だったそうだ。
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