∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part25∧∧
『ドーンッ!』
610 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/04/07(金) 20:08:18 ID:FY2Il40V0
先輩の話。
山を縦走していると、夕立に襲われた。
仕方なく手近の洞窟に逃げ込み、雨宿りすることにした。
雨足が弱くなって「そろそろ外に出られるかな」とか考えている矢先。
一瞬、視界が真っ白になる。
空一面の黒雲から、一本の真っ直ぐな、白く輝く柱が地に突き刺さっていた。
ドーンッ!
続いて身を震わせるような大きな音。
柱は見る見るうちに細くなり、あっという間に消えて失せる。
柱の立った位置の雲には、ぽっかりと穴が開いていた。
綺麗な真円。分厚い雲の断面と、その上の蒼い空が覗いている。
じわじわと穴は塞がり始め、やがて見えなくなった。
それと前後して雨も止んだのだという。
「ああいう雷ってあるものかなぁ?」
先輩はそう首を傾げていた。
『日陰』
611 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/04/07(金) 20:09:19 ID:FY2Il40V0
同僚の話。
山で薪を拾っていた。
強い日差しの下で腰を屈めていると、フッと日が陰る。
あ、涼しいや。額の汗を拭って一息ついた。
その時、急に異臭がした。生臭い。
なぜか顔を上げてはいけないという気がして、そのまま硬直してしまう。
やがて臭いはしなくなり、再び日が差してきた。
恐る恐る見上げた空は快晴で、雲一つ無かったという。
その後すぐに山を下りたそうだ。
『火葬場の天井』
612 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/04/07(金) 20:11:19 ID:FY2Il40V0
知り合いの話。
彼の家の裏山には、既に使われなくなった火葬場跡がある。
祖父から聞いたところ、ちょっと奇妙な所だったのだそうだ。
人を焼いた煙が上り始めると、小屋の天井で声がしたのだという。
くしゃんっ!
まるで幼子がクシャミをしたような声だったらしい。
見上げても低い天井には誰がいる筈もない。薄い屋根に上るなど論外。
焼き場の担当は慣れたもので、まったく無視していたと聞く。
「でもなぁ、偶にクシャミじゃない時もあったんだ。
うえぇううえぇっ・・・ってな感じでな、歪んだ笑い声のようだったわ」
故人が強欲な性質だった場合、クシャミではなくてあの嫌な笑いが聞こえるのだと、
焼き場守の間では囁かれていた。
怖いといえば怖かったが、
仏さんの生前が類推できるような、ちょっと暗い楽しみがあったとお祖父さんは言っていた。
現在、そこには基礎石が雨曝しになっているだけだ。
声の主がどこへ行ったのか、お祖父さんにもわからない。
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