∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part25∧∧
『山の火葬場で働いていた』
505 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/03/31(金) 18:17:01 ID:mxuIMygD0
知り合いの話。
彼はかなりの高齢で、かつて山の火葬場で働いていたという。
働くといっても仏が出た時だけで、普段は農作をしていたらしいが。
祭りで一緒に作業をした時、奇妙な談を聞かせてくれた。
「人を沢山焼いているとな、変な物が見える時がある。
火が回ってしばらくすると、死体から黒いのがひょんひょん抜けて来るんじゃ。
煙というより、墨みたいなもんが、こうパァっと宙に広がってな。
まぁすぐに火に炙られて、溶けて消えるんじゃけど」
それが見えるのは、大抵が大病患いで死んだ人だった。
彼の住んでいた山村にはクダと呼ばれる物の怪がいたらしいが、
こいつが憑くと人は病になってしまうといって嫌われていたという。
「案外儂が見ていたのは、そのクダじゃったのかもしれんの」
そう言って彼は、白い歯を見せて笑った。
『ハゲの木』
506 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/03/31(金) 18:18:22 ID:mxuIMygD0
後輩の話。
大学のサークルで、山歩きをしていた時のこと。
休憩中腰を下ろしていると、あーっ!と注意の声が後ろから掛けられた。
何だ?と振り返ると、頭髪の上にピシャッと何か落ちてきた。
手をやってみると樹液か何かの汁のようだ。
タオルを出して拭いていると、先輩が一人駆け寄ってくる。
間に合わなかったか、とでも言うような雰囲気。
「・・・ありゃ仲間内で、ハゲの木って呼ばれてる。
あれが出す液を被ると、まず外れなく禿げるんだとさ」
先輩は、何とも微妙な表情で、彼の顔を見つめたという。
多分彼も、微妙な表情で先輩を見返したのだと思う。
場の空気が厭な感じに変わっていたらしい。
周りを見回したが、どれがハゲの木なのか、彼には全然わからなかった。
彼は大学を卒業後、私と同じ会社に就職した。
二人で他社に出向くと、いつも彼の方が上司扱いされていたのは、
私が童顔な所為もあるだろうが、彼の見事な頭とそれにマッチした顔が一番の原因だった筈と固く信じている。
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