∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part25∧∧
『地元の山道』
156 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/03/13(月) 19:08:22 ID:Po2Dx/Gf0
知り合いの話。
通い慣れた、地元の山道を歩いていた時のこと。
その日は朝から、ひどく濃い霧が出ていたという。
まぁよく知った道だから心配もあるまい。そう考えて足を進める。
ある地点で違和感を覚えた。どこか道の形が違う気がする。
確認のため足を止めた彼は、自分が覚えのない一本道の上に居ることに気がついた。
道の両脇は黒い草叢が茂っている。
いつの間に道を間違えたのか、全然わからない。
しかし途中に間違って入り込む脇道は一本もない筈だが・・・。
なぜか、道の外へ足を踏み出したら帰れなくなる気がした。
一歩一歩、注意してゆっくりと歩くことにする。
どれだけ歩いたろうか。唐突に霧が晴れ、視界が開けた。
辺りの風景を見ると、確かに彼の覚えている道だ。
いつもは小一時間で歩く道程に、半日近くの時間が掛かっていたという。
彼は霧の中、一体どこを歩いていたのだろうか。
『妙に古臭い服を着た子供』
157 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/03/13(月) 19:10:54 ID:Po2Dx/Gf0
知り合いの話。
山道を歩いていると、行く手の道上にちょこんとした小さな影一つ。
近よってみると、妙に古臭い服を着た子供だった。多分、男の子。
こんな山奥に小さな子が一人というのが気になって、声をかけてみた。
返答はない。子供は相変わらず、無表情なままだ。
どうしたものかと頭を悩ましていると。
ぞろりと、小さな口から黒い百足のような物が這い出した。
飛びのいた彼を尻目に、小さな手はグッと黒百足を口中に押し込む。
小さく「グェッ!」と悲鳴が聞こえた。
そのまま踵を返して、子供は森の中へ消えて行った。
関節の動く向きがおかしく、奇妙にギクシャクした動きだったという。
・・・何かが子供の皮を被っていたのかも。
なぜかふと、そう考えてしまったそうだ。
『淵坊主』
158 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/03/13(月) 19:13:17 ID:Po2Dx/Gf0
知り合いの話。
カヌーで渓流下りをしていた時のこと。
途中で大きな淵に行き当たり、オールを使ってゆっくりと横断する。
淵の中ほどで、ドンッと軽い衝撃がカヌーを揺らした。
何かが水中で体当たりをしてきたかのような。
少し経ってから、またドンッと来る。
しかし見る限り水中には何も確認できない。
出来るだけ静かに、だが急いで淵を渡り切ったのだという。
下ってから合流した仲間たちに報告すると、中の一人がこんなことを言う。
「あそこには淵坊主っていう主がいるそうだから、それ怒らしたんじゃない?」
その淵は他の仲間たちも通過しているのだが、どうやらそんな目に遭遇したのは彼だけだったらしい。
「何も悪いことなんてしていないんだけどなぁ。
船揺らすような、でっかい岩魚でもいるのかね?」
彼はそう言って首を傾げた。
余談だが、最近彼は川釣り用の道具を揃え始めたと聞く。
密かに主を狙っているのかもしれない。
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