∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part25∧∧
『ツクシオニ』
21 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/03/02(木) 19:52:50 ID:R5NKYh9F0
先輩の話。
彼の故郷の山には、ツクシオニなる物の怪が出たという。
春先に土筆(ツクシ)狩りをしていると、中にどうしても抜けない土筆がある。
子供らしく意地になって引っ張り続けると、
根元の地中からヌッと真黒い腕が突き出されてきて、子供を地の底に引きずり込むのだと。
「実際、土筆を取ったり土遊びをしちゃいけないって坂道があったよ。
まぁ言い伝えの類いなんだろうけど。
何かしら教訓や戒めでもあったのかな」
今でもその場所には、春になると多くの土筆が顔を出しているそうだ。
『ニホンノボリ』
22 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/03/02(木) 19:57:11 ID:R5NKYh9F0
友人の話。
彼女の実家は山奥深い村だ。
今は廃村となってしまったが、そこで奇妙な物を幾度となく見たという。
祖父と山中の墓所へ出かけた帰り道。
峠の開けた場所で、不思議な物を見かけた。
白くて長い、ヒラヒラとしたリボンが二本。
風もないのに、彼女の頭の上をゆったり漂っている。
何だろうと見ていると、後ろから来た祖父が「触るんじゃないぞ」と注意する。
「あれはニホンノボリと言ってな、常に二つ一組で現れる。
放っておけば何もないが、突付いてしまうと天気が激しく崩れるんだ。
山の嵐は酷いぞ。巻き込まれたくはなかろう?」
そんな不思議な物があるんだ。そう感心して、彼女はリボンを見やった。
二本のリボンは絡まりあいながら流されていき、やがて見えなくなった。
それからもう一度、彼女はニホンノボリを目撃したという。
やはりその時も、何もせずに見送ったのだそうだ。
『タラの芽採り』
23 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/03/02(木) 19:58:08 ID:R5NKYh9F0
同級生の話。
タラの芽を採りに、街から離れた山中へ入っていた時のこと。
そこは交通の便が悪いせいか登山者も少なく、山菜の穴場なのだそうだ。
その日も結構な収穫を得た彼は、最後にしようと目前の芽に手を伸ばした。
彼の指がプリッとした芽に触る直前。
ガサッと繁みを分けて緑色の何かが横から突き出される。
素早く芽を引っつかむと、彼が何ら反応する間もなく繁みの中に消えていく。
あっという間のことで詳しく見えなかったが、形は人の手に似ていたという。
ただ、手首より先の部分に、小さな指のような物がびっしりと生えていた。
彼は今でも一人で、その山に山菜狩りに出かけている。
しかし、絶対に必要以上の量は採らないのだという。
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