∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part24∧∧
『水牛』
59 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2005/12/22(木) 19:40:04 ID:PJO/01Ta0
同級生の話。
大学のサークル仲間でキャンプをしていた時のこと。
寝る前に水場へ三人ほど水を汲みに行ったという。
テントにいる者がシュラフの準備等していると、突然水場の方から甲高い悲鳴が聞こえた。
取る物も取らず駆け付けると社会人の先輩が一人、地面の上で大の字になっていた。呻き声を上げている。
他の二人は腰を抜かした様子で、ポリ容器を抱えて座り込んでいた。
何があったのか聞くと、
突然大きな牛のような動物が繁みから飛び出してきて、先輩を角で跳ね飛ばして走り去ったのだという。
それも日本の牛ではなく、アフリカにいる水牛のような角をしていたのだと。
倒れている先輩の上着には、泥で付いた足跡のようなものが残されていた。
牛の蹄の跡とも取れないことはない。納得はいかなかったが。
不思議なことに、周りの地面には足跡がまったく残されていなかった。
苦労しながらも何とか麓の車まで運び、病院へ搬送した。
先輩は肋骨と鎖骨が折れていたが、命に別状はなかった。
小康状態になった先輩と話してみると「そりゃ確かに水牛だろう」と言う。
何でも、先輩はかつてアフリカへ旅行したことがあり、その折に水牛を怒らせるようなことをしでかしたらしい。
何とかその場は逃げ出したのだが、その後現地のガイドから注意された。
「水牛は執念深い。
一度狙われたらどこまでも、例え地の果てまでも追いかけていって復讐する。
すぐにこの地を離れた方がいい」
「まさか日本にまで追いかけてくるとはなぁ。悪さはするモンじゃない」
先輩はそう言って、しみじみと溜め息を吐いたそうだ。
『首吊り』
79 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2005/12/23(金) 16:51:01 ID:VVAsxIBh0
知り合いの話。
山深い峠道を歩いていると、前方の道脇に何かぶら下がっている物が見えた。
何を吊るしているんだろうと近よるうち、正体がわかって逃げ出したくなる。
男の首吊り死体だった。
嫌になったが、通報しない訳にもいくまいと思い、場所や遺体の状態を見ておこうと梢の上方を見上げた。
すると彼の視線に合わせたかのように、ずるっと死体の首が伸びた。
ギョッとする。
目を擦ってもう一度確認してみると、
身体の下がっている位置は変わらず、頭の位置だけが上に伸び上がった状態になっていた。
慌てて視線を下げると、首はすっと縮んで、初めに見た大きさに戻る。
目がおかしくなったかと困惑し、思い切り上の方に向かい頭を上げてみた。
今度は途中で止まることなく、首は勢いよくぐんぐんと伸びた。
空の遥か高みに突き刺さり、小さくなって見えなくなる。
80 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2005/12/23(金) 16:52:05 ID:VVAsxIBh0
おい、どこから吊ってるんだ!?
疑問で頭を一杯にしながら曇天を見上げていると、プチッと何か切れるような音が聞こえた。
次の瞬間、彼の目の前に凄い勢いで天から降ってきた物がある。
黒ずんで少し歪んだ、舌を吐き出した男の死顔。
舌だけがやけに鮮やかなピンク色をしていたという。
彼の顔の前で二、三度上下すると、ニヤリと薄く笑った。
そこで彼は気を失ったらしい。
意識を取り戻した時、首吊り死体はどこにも見えなくなっていた。
逃げるように山を下ると、麓の町の交番へ駆け込んだ。
事情を説明すると、交番にいた老巡査は少し笑いながら教えてくれた。
「そりゃ本物の死体じゃないな。
この辺りに昔から出てる、首吊り入道って奴だ。
駄目だよ、上向いちゃ。ずっと下見ていなきゃ。
しばらくしたら消えるからさ」
アレも妖怪の一種なのかね。彼はそう言ってこの話をしてくれた。
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