∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part23∧∧
『呼ぶ声』
666 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2005/11/22(火) 22:02:33 ID:FGM2kkvE0
知り合いの話。
山で木を切っているとどこからともなく、おーいと呼ぶ声がする。
誰だ?と呼び返してみると、よく聞き取れない返事があった。
くり返す潰れた声に耳を澄ますうち、ようやっと内容が聞き取れた。
右手がないんじゃぁ
何のことだろうと訝しく思っていると、不意に耳元で重い声が聞こえた。
そこか
驚き振り返るが誰も見えない。それきり呼ぶ声も絶えている。
気味が悪くなり、そこで撤収したのだという。
その次の入山日に大きな事故が発生し、彼は右の肘から先を失ってしまったそうだ。
『蒼白く光る生き物』
756 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2005/11/29(火) 23:47:42 ID:LUe3dlOX0
知り合いの話。
彼の叔父さんは、奥山で炭焼きをしている。
泊まり掛けで遊びに行った時に、そこで不思議な動物を見たという。
深夜炭焼き釜の前で談話していると、ふっふっふという音が聞こえた。
「何か来た」と思い外を見やると、蒼白く光る生き物が林の中にいた。
馬だ。大きくはない。しかし仔馬ではないような印象を受けた。
何とも奇妙なことに、馬は身体から薄い光を発している。
月も出ていない暗闇だったが、その身体は闇の中にはっきりと確認できた。
蒼い馬は、下草の中に顔を突っ込んで何やら探している様子。
やがて上げられたその口には、太い蛇が咥えられていた。
そのままかっかっかと一息に呑み込んでしまう。
と、いきなり馬は彼の目を真正面から覗き込んできた。
爛々と光るその目に身が固まった。
「こいつは馬じゃない!馬なんかである筈がない!」
身動ぎも出来ずにいると、馬は彼に興味を無くしたのか自分から目を外した。
あっと思う間もなく、そのまま闇の中へ姿を消してしまった。
757 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2005/11/29(火) 23:49:03 ID:LUe3dlOX0
「大丈夫か?」叔父さんの一言で我に返る。
足が震えて立っておられず、そのまま尻餅をつく。
「何あれ!?」と問いかけると、あっさりとした答えがあった。
「この山の神様さね」
「水の道を操るのかどうか知らないが、あの馬が地面を蹴飛ばすと、そこから清水が湧くのさ。
干魃の時にもかなり助けてくれたそうだ。」
だからその里では、昔から山神様として敬っているのだと。
「実際向こうにこちらを助けるつもりがあったかどうか、それは本当のところわからないがね。
自分が水を飲みたかっただけかもしれん。
しかしまぁ、そういう訳だからちょっかいは出すなよ」
叔父さんがそう釘を刺すと、それ以上この話題は続かなかった。
彼は今でもちょくちょくそこに遊びに行っているが、あれからその蒼い馬を見たことはないそうだ。
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