∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part23∧∧
『村のタブー』
255 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2005/11/03(木) 19:23:01 ID:rO1C5HLt0
知り合いの話。
彼はその昔、仕事で南米に赴任していたことがある。
さしたトラブルも無く無事任期を勤め上げたのだが、何度か不思議な事柄に遭遇したのだという。
取り引きのため、奥地の集落を訪れた時のこと。
村に入る前に、現地のガイドがおかしな注意をしてきた。
「ここにいる間は絶対に火を起こさないで下さい。
絶対にです!ライターすら使ってはいけません」
どうやら、その集落では火がタブーとなっていたらしい。
ガイドに聞いたところ、その村には火の神様がいるのだと。
普段は寝ているので大人しいが、集落内でちょっとでも火の気が上がるとたちまち目を覚まし、一頻り暴れてから再び眠る。
火神だけにその暴れ様は恐ろしいもので、過去に何度も大きな山火事が発生しており、被害も尋常ではなかったのだとか。
どうしても火を使わなければならない時は、村から数キロほど離れた専用の岩場で扱っているという。
どうしてこんな不便な所に人が住むのだと聞いてみると、
「逃げても神様が追いかけてくるから、どこでも一緒なんです」とのことだった。
「仕事は順調に運んだけど、煙草が吸えなかったのがキツかったな。
しかしああなると、守り神なのか祟り神なのかわからないね」
そう言って彼は笑っていた。
風の噂では現在もう件の集落は失くなり、深い森となっているそうだ。
『賽銭』
286 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2005/11/04(金) 22:53:30 ID:YNbdaL/j0
友人の話。
彼女の実家は山奥深い村だ。
今は廃村となってしまったが、そこで奇妙な物を幾度となく見たという。
山中の神社で隠れん坊をしていた時のこと。
隠れていると、境内から「あっ」という驚いた声がする。
何事かと見やると、鬼役の子が参道で立ち竦んでいた。
その傍を大きな真っ白い猿が、堂々と歩いて通り抜けてくる。
背筋をピンと伸ばして二足歩行。妙に人間臭い歩き方だったという。
猿は宮の前まで行くと、賽銭箱に何やら投げ入れた。コトンと硬い音。
そして少しの間、頭を垂れる。願掛けでもしているのだろうか。
やがて見守る子供たちを気にかけた風もなく、猿は神社から出て行った。
自分たち子供を含め、周りの大人より余程立派に見えたのだそうだ。
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