∧∧∧山にまつわる怖い話Part20∧∧∧(※実質21)
『水色のホース』
803 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2005/08/16(火) 20:55:08 ID:JDXnLoWC0
友人の話。
母親に頼まれて、庭に水やりをすることになった。
ホースは何処にあるかと聞けば、縁側の下に投げてあるという。
覗き込むと、水色の細長いホースが二つ、束ねられてとぐろを巻いていた。
手前の方でいいや、と手で引っ張り出そうとしたその時。
つかんだホースは、まるで生きているみたいに激しく身を捩った。
「うわわわわっ!」悲鳴を上げて、腕に巻きつくホースを払い落とす。
落ちたホースは信じられない速さで地を這い、あっという間に姿を消した。
しばらく呆然として、ホースが逃げ込んだ藪を見つめていたそうだ。
「家にホースは一つしかないよ。あんた、蛇でもつかんだんじゃないの?」
母親はそう言って済ませたが、彼はいまだに納得がいっていない。
「あれほど長い水色の蛇なんて日本にいるのかね?」
後刻、帰宅した父親が言うには、
「昔は色々と奇妙な物が山から下りてきていたもんだ。
お前が見たのも、案外その手の類いだったかもな」
ということだそうだ。
『ざわざわという音で目が覚めた』
804 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2005/08/16(火) 20:56:00 ID:JDXnLoWC0
同僚の話。
夜、自宅で寝ていると、ざわざわという音で目が覚めた。
微かだが、耳を澄ませば確かに聞こえる。
多勢が楽しく語らっているようで、陽気な御囃子も聞こえていた。
近所のどこかで宴会でもしているのかなと、寝惚け眼で思ったという。
寝直そうと枕に顔をうずめた時、嫌なことに気がついた。
微かな騒ぎ声は、間違いなく彼の寝床の下から響いていた。
夜が明ける頃、声は聞こえなくなった。どうやらお開きになったようだ。
睡眠不足を堪えつつ、早速布団を片し畳を跳ね上げる。
何も見つからなかったが、なぜかアルコールの匂いだけは残されていた。
釈然としないまま床下を探っていると、やがて家族が起きてきた。
前夜の話をすると、祖父さんがさくりと言う。
「そりゃ古鼬だ。裏山から下りてきて宴会していたんだろう。
昔はよく来てたもんだが、本当に久しぶりだな」
納得は出来なかったが、害はないと判断し放っておくことにした。
今のところ、二回目の宴は開かれていないらしい。
『クダリモノ』
805 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2005/08/16(火) 20:59:23 ID:JDXnLoWC0
先輩の話。
彼の父方の実家は、現在廃村になっている。
学生の頃、そこで仲間たちとキャンプしようと計画を立てたそうだ。
街からそう遠くないし、RV車でならすぐ近くまで行けるし、水場も残っている。
穴場じゃないかと、調べた皆が思ったという。
「止めとけ」
そう言ったのは彼の父だった。
「あそこは時々、すぐ横の山から何かが下りてくるんだ。
村じゃクダリモノって言ってたけどな。
その昔は穴掘ったり、鏡を据え付けたり色んなことをして追い返してたけど、
段々効果がなくなってきたんで、結局村を引き払ったのさ。
何でそこそこ便利の良い立地で廃村になったのか考えてみろ。
何事にも理由っていうのはあるもんだ」
ただ、何が下りてくるのか、そしてそれが下りてきて何をするのか、親父さんはついに教えてくれなかった。
結局その村には近よらず、近場の有料オートキャンプ場を利用したそうだ。
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