∧∧∧山にまつわる怖い話Part19∧∧∧
『秋の山で寝入ってしまった』
196 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2005/04/29(金) 21:16:19 ID:0Jxf0+Ie0
友人の話。
秋の山に一人でこもっていた時のこと。
朝方、肌寒さを感じて目が覚めた。
目の前に火の気の絶えた焚き火跡がある。
迂闊にも、焚き火にあたったまま、外で寝入ってしまったらしい。
伸びをしていると、おかしな物が傍らに転がっていることに気がつく。
縁の欠けた丼と、薄汚れたサイコロが二つ。
そして、山と盛られたアケビと茸。
他にも焚き火の周りには、空になったビール缶と竹筒が残されていた。
ビールは彼が持ち込んだ物だが、他は記憶にない。
竹筒は水筒みたく加工されている。
小さく空いた口に鼻を近づけてみると、微かにアルコールの香りが感じられた。
しばし腕を組んで、昨夜のことを思い出そうと努力した。
そうだ、確か誰かと愉快にチンチロリンをしたような気がする。
念のため自分の荷物を確認してみると、厚手のナイフと煙草が無くなっていた。
アケビと茸の山を見やる。どうやら戦利品のようだな。
ただ一体誰と賭け事をして遊んだのか、それだけがまったく思い出せない。
今でも、それが何より残念だという。
『真夜中に訪れる常連客』
218 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2005/04/30(土) 21:06:52 ID:DS9n/wPu0
友人の話。
彼は小さな山間の町でコンビニを経営している。
店には季節の変わり目、必ず真夜中に訪れる常連の客がいるという。
その客は背が高く、いつ来ても同じ服装を着込んでいる。
見た目はごく普通の人だが、いつも大きなマスクと帽子を着けているので、
どのような顔をしているのかはよくわからない。
深夜にもかかわらず、毎回大きなサングラスをかけているのも少し気になる。
加えてまるで農作業したばかりのような、優しい土の匂いがするのも奇妙だ。
決まってミネラルウォーターのペットボトルを二本、米を一キロ、炒り子を一袋、そして塩を一瓶購入する。
商品を手提げ袋に納めたその客は、店前の県道を横切りガードレールを乗り越え、
休耕田を突っ切ってから、深い竹薮の中へ消えるそうだ。
あの奥って確か、寂れた御社以外は何もない筈なんだけどな。
そうは思うものの、お客ということには間違いない。
だからあまり深く考えないようにしているのだという。
次の記事:
『嫌な噂のあるトンネル』『綱紐』
前の記事:
『ハズレ』『鈴の音』