∧∧∧山にまつわる怖い話Part18∧∧∧
『酒の注文』
443 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :05/03/17 00:14:46 ID:+Qol0yxj0
知り合いの話。
彼の実家は小さな酒屋を経営している。彼は専ら配達専門だ。
お得意の配達先に、不思議な家があるのだという。
その家は山の中腹にポツンと一軒だけあって、小口だがちょくちょく注文がある。
それはありがたいのだが、今まで一度も家の主に会ったことがないのだ。
酒の注文は電話でおこなわれる。ボソボソとした男性の声だそうだ。
配達の品は、家の納屋の決まった場所に置いておく。
月末に支払金額を尋ねる電話があると、
次の日にはお金が入った封筒が、やはり納屋の同じ場所に置かれているのだという。
家屋も納屋も綺麗だが埃がかっていて、まるで使われず古くなった新品のような印象を受けるのだそうだ。
お金はすべて硬貨で構成されており、なぜか乾いた泥がこびり付いた物が多い。
奇妙には思うが、親の代からの付き合いなので、特に気にしてはいないそうだ。
『缶コーヒー』
491 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :05/03/21 02:48:00 ID:FB/tujt50
私の体験した話。
冬場に仕事で遠出した時のこと。
山中の裏道を走っていたのだが、ふと喉の渇きを覚えた。
近くの峠に休憩場があったのを思い出し、そこの自販機で何か買おうと決める。
休憩所に車を停め、車内の空き缶を持って外に出る。
空き缶はゴミ箱に捨てて、ブラックコーヒーを一本購入。
車に戻りコーヒーを缶スタンドに置こうとして、少し身体が固まった。
缶スタンドには、口を切った缶コーヒーが既に置かれていた。
つい先までこのスタンドには、今しがた捨てた空き缶が収まっていたはずだ。
誰の物かわからない缶コーヒーは半分ほど飲まれていたが、まだ仄かに温かい。
周りを見回してみたが、冬の山には誰の姿も確認できなかった。
ご相伴に与るような気持ちでブラックコーヒーを口にした、そんな午後だった。
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