∧∧∧山にまつわる怖い話Part18∧∧∧
『おかしな灯』
382 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :05/03/13 02:33:45 ID:AedtkMIt0
知り合いの話。
彼のお父さんはその昔、火葬場で番の勤めをしていたそうだ。
専任ではなく持ち回りであったらしい。
火葬場も立派な物ではなく、農作業小屋に毛が生えた程度の物だったという。
番につくようになってから、時折火葬場の裏山でおかしな灯を見るようになった。
揺ら揺らと暗い斜面を一晩中、青白い火の玉らしき物が動いているのだ。
数は定まっておらず、見る度に大きさや個数が違う。
ある時、思い切って先輩役の年寄りにあれは何かと尋ねてみた。
ありゃ遺恨の火だ。成仏しきれないモンの恨み辛みが燃えてるんだヨ。
あれが見えたら間もなく里に死人が出るんだ。呼んでるのかもな。
聞いて後、お父さんは山で何が見えても無視するようになった。
現在その火葬場は取り壊され、怪しい火も現れなくなって久しい。
『班描』
395 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :05/03/14 00:42:47 ID:qTtZ+NHL0
同僚の話。
春の終わりに実家の墓参りに行ったという。
墓は小さな山の上にあり、結構歩かなくてはならないそうだ。
よく晴れた空の下、山道には虹色の光沢が乱舞していた。
班描だ。この甲虫には人が近づくと、飛び退っては振り向くという習性がある。
そのため『ミチオシエ(道教え)』という別名が付いている。
自分の田舎にこんな美しい虫がいたのかと、彼はすこぶる感心していた。
道が二股に分かれている所で、班描たちは奇妙な行動をした。
明らかに片方の道にだけ進もうとする。
何匹かは別の登り口を行こうとする彼の前に出て、遮ろうとでもするみたいだ。
本当に道を教えているみたいだな。
面白く思った彼は素直に虫に従い、いつもとは別の道から墓所に向かったという。
帰り道、あれだけいた班描は姿を消していた。
残念に思いながら馴染みの道を下っていると、行く手を塞いでいる影が見えた。
大きな朽ち木だった。様子からして、先ほど倒れたばかりのよう。
偶然だろうけど、ひょっとしたら危険を教えてくれたのかもな。
そう笑いながら彼はこの話をしてくれた。
396 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :05/03/14 00:50:49 ID:qTtZ+NHL0
班描(ハンミョウ)っていうのは、本当に綺麗な昆虫です。
私の実家の近くでは、今でも結構見ることができます。
虫好き少年だった自分には、まったくありがたいことです。
乱舞している光景は、なかなかに素敵ですよ~。
・・・って話を仕事先でしていたら>>395の話を聞かされました。
ふぅ~んってな感じで喜んでメモる自分(笑)。
いや、どこに奇妙な話のネタが転がっているかわからないですねぃ。
ま、私の家が田舎の中の田舎ってだけかもしれませんが(汗)。
ハンミョウだけでなく、マイマイカブリとか、タイコウチとか、
ミズカマキリとか、ウスバカミキリとか、タマムシとか。
実際生きて動いている姿を見たことのある子供って、今いるのかなぁ・・・。
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