∧∧∧山にまつわる怖い話Part17∧∧∧
『丸太のような物』
576 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :05/01/25 00:33:11 ID:6Rw/xem+0
知り合いの話。
新緑深い山道を車で走っている時のこと。
カーブを曲がった所で、目の前にごろんと丸太のような物が転がっていた。
しかし丸太ではない証拠に、半ば透き通ったそれはズルズルと斜面を這い登っている。何だこれは?
車を停めて観察していた彼は、それがどうやら大きな蛇体だと結論を下した。
一体どれだけ大きいんだ? いや、それ以前に透き通った蛇なんているのか?
恐ろしさより好奇心が勝って、尻尾を見てやろうと待ち構えていた彼は、
自分がとんでもない勘違いしていることに最後まで気がつかなかった。
蛇は前進していたのではなく、後退していたのだ。
下の繁みから引き抜かれた蛇の頭が彼を見下ろした時、彼は凍りついたように動けなくなった。
なぜかその顔は、つるりとした坊主頭の人間だったという。
大蛇は硬直している彼をからかうようにニヤリと笑い、そのまま後ずさりながら初夏の山を登っていったそうだ。
『足を踏み入れてはならない山』
653 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :05/01/25 22:58:22 ID:6Rw/xem+0
知り合いの話。
彼の住んでいた村には、足を踏み入れてはならない山があった。
ある時、村でも鼻つまみ的な存在の者数名が、この山を荒らしたそうだ。
人が普段入らないだけに、獲物が豊富だったらしい。
ならず者たちは他の村人を臆病だと馬鹿にしながら、意気揚々と村に帰ってきた。
障りがなければいいがと、村人は囁きあった。
それから一週間の内に、山を荒らした者たちは皆、次々に死んでしまった。
死因等は明らかにされなかったが、家族や焼き場の人の口からは不気味な噂が聞こえ漏れてきた。
遺体の一杯に開いた口から、湿った黒い土がこぼれていたというのだ。
どうやら腹の中から口の中まで、パンパンに濡れ土が詰め込まれていたらしい。
亡骸は速やかに焼かれてしまい、噂の嘘真は誰にもわからなくなった。
それから村が廃れるまで、敢えてその山に入ろうとする者はいなかったという。
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