∧∧∧山にまつわる怖い話Part15∧∧∧
『鬼の腰掛け』
232 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/12/18 03:07:52 ID:ji1NwHqN
知り合いの話。
彼の田舎の峠道には、鬼の腰掛けと呼ばれている石があるのだという。
昔、そこらの山には鬼がいて、峠を行き交う人を獲って喰らっていた。
獲物が通りかかるのを、その石に腰掛けて待っていたという伝承話だ。
数年前、帰郷していた彼は夜中にそこを通り過ぎようとした。
真っ暗な山の中、月明かりで道だけが白々と浮かび上がっている。
ギョッとした。
まだかなり距離はあったが、鬼の腰掛けに大きな黒い人影が腰を下ろして
いるのが見えたのだ。明かりも何も点けないままで。
こちらに気がついているのかいないのか、何も目立った反応はない。
鬼など信じてはいなかったが、まず近寄りたくはなかった。
結局、引き返して麓の道を遠回りして帰ったそうだ。
『光る紅玉』
233 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/12/18 03:08:57 ID:ji1NwHqN
先輩の話。
秋も終わる頃、一人で山を縦走していた時のこと。
夕食を終えた先輩は、鼻歌を歌いながら焚き火に木をくべていた。
ふと、少し先の木々の間、一つチラチラと光る紅玉があるのに気がつく。
焚き火の灯りを反射しているようで、一瞬ガラス玉かとも思ったが、
それにしては空中を漂っているのが妙だ。
何だろうと見ている内、いきなり光はしばしばっと点滅した。
まるで、猫や犬の瞳が暗闇で瞬きをするかのように。
次の瞬間。ざんっざんっ!、と乱雑な音がして光はかき消すように消えた。
何かが闇の中、飛び跳ねながら遠ざかっているような感じを受けたという。
不思議に恐いとは思わず、その後も予定通りに山行を終えたのだそうだ。
『黄色い雲』
234 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/12/18 03:10:33 ID:ji1NwHqN
知り合いの話。
山中で高速道路の工事をしていた時のこと。
昼時、車にこもって弁当を食べていると、目の前を不思議な物が横切った。
黄色い雲。杉花粉か何かの塊のように見えた。
まるで意思を持っているかのように、不自然な軌道で空中を流れていく。
やがて雲は一台のダンプに取り付き、開いたままの窓からあっという間に中に吸い込まれていった。
慌ててその車に走り寄り無事を確認しようとしたが、ダンプ車内からは「どうかしたのか?」という声が返ってくる。
どうやらダンプの方からは、黄色い雲などまったく見えなかったらしい。
その場は結局、彼の見間違いだろうということになったという。
しかし、次の日から件のダンプ運転手は仕事を休んでしまった。
様々な激しいアレルギー反応が現れて、動くこともままならない状態になっていたと聞かされた。
「あの人は、切っちゃいけない木を切ったからのぅ」
年配の作業員がそう言っていたのが気になったが、どういうことなのか聞くこともなく、その現場は終了してしまったそうだ。
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