∧∧∧山にまつわる怖い話Part14∧∧∧
『山奥の城跡』
692 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/12/05 05:27:25 ID:yANQH878
友人の話。
学生時代、地元の有名な心霊スポットに、三人で出かけたのだそうだ。
そこは山奥の城跡で、もう石垣しか残っていない。
満月の夜、その石垣の上に奇怪なものが現れるという噂があった。
夜のドライブがてら、軽い肝試しの気持ちだったという。
着いてみると、月明かりの下、石垣の周りに十人くらいの人影がたむろしていた。
先客かと思ったが、どうも雰囲気が只事ではない。
どんなに目を凝らしても、姿形がはっきりと見えてこないのだ。
影たちが作る円陣の中、一つの影が躍っていた。
踊りながら、大きな毬のような物を空に投げては受け止めている。
近寄るのを躊躇っていると、仲間の一人が青い顔でもう帰ると言い出した。
仲間内でも霊感が強いと言われている彼の言に異論があろう筈もなく、皆逃げるようにそこを後にした。
帰路、今見たものの話になったが、やはり彼にははっきりと見えていたらしい。
そうか毬に見えたんだ。あの毬な、髪の毛が生えてたぞ。
放り投げてる人、泣き出しそうな顔をしていたし。
街中の明かりの中に出るまで、皆無口になったという。
過去にその城でどんな合戦があったのか、調べるようなことはしていない。
『もいおもいお』
693 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/12/05 05:28:36 ID:yANQH878
知り合いの話。
とある樹海に単独入山していた夜のこと。
どこからか蚊が入り込んだようで、羽音が耳障りで寝られなかったという。
寝返りをうっているうちに、羽音に混じって何か雑音が聞こえてきた。
やがて、雑音はブツブツという男の低い声になる。
「…もいおもいおもいおもいおもいおもいおもいおも…」
彼は耳を塞いで強引に寝ることにした。
翌朝、撤収する際に確認したが、テント下の地面には何も見えなかった。
しかし詳しく確認するようなことはしなかったそうだ。
『蓮根が取れる沼地』
694 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/12/05 05:31:00 ID:yANQH878
先輩の話。
彼の家近くの山に、良い蓮根が取れる沼地があるのだそうだ。
誰が手入れしている訳でもないのに、毎年結構な収穫があるという。
奥さんと一緒に取りに行っていた時のこと。
泥の中をまさぐっていると、誰かがぎゅっと先輩の手を握ってきた。
小さな幼子くらいの大きさだったらしい。
それは硬直した彼の手をしばらくニギニギしてから、すっと泥中を離れていった。
すぐさま奥さんの所へ飛んで行き、何かがいる!と訴えた。
上がろうと言う先輩を押し止め、奥さんは平然と切り返したという。
大丈夫よ。これまでも何もなかったし。
彼の醜態を見ていた筈の周りの奥様たちも、皆一様にしれっとした顔。
母ちゃんは強いよなぁ。そう言って先輩は感心していた。
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