∧∧∧山にまつわる怖い話Part14∧∧∧
『山のお祭り』
39 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/10/30 22:53:39 ID:+novFQZk
先輩の話。
大学生の頃、友人と二人で秋の山に入った。
友人が紅葉の写真を撮るのに付き合っていたのだとか。
ある夜、どこからか楽しげな笛の音が流れてきた。
耳を澄ませば、太鼓や鈴の音も混じっていたという。
秋祭りだと思った。こんな山奥で変だとも感じたけど。
お祭り好きな二人は何となく嬉しくなり、祭り場を探して歩き出した。
テントを張った地からしばらく行くと、切り立つ崖があった。
足元の谷間で、小さいながらも活気ある祭りが仕切られていた。
距離はあったが、型抜きや金魚すくい、綿飴の屋台らしき物が確認できたそうだ。
こんな山奥で一体どこから電気を引っ張っているのか、古びた豆電球が幾つもぶら下げられていた。
かすかな笑い声が、風に乗って崖の上まで届いてくる。
しかし、先輩たちは祭り場に降りては行かなかった。
祭りの会場を賑やかす黒い影は、人型でない物が大半を占めていたのだ。
「良い絵なんだけど・・・撮ったら拙いだろうな、やっぱり」
そう言ってから、友人は残念そうにカメラを引っ込めた。
しばし遠くから祭りの空気を楽しんで、テントに帰ったという。
『秋の紅葉』
40 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/10/30 22:55:03 ID:+novFQZk
友人の話。
部活キャンプのための下見を一人でしていた時のことだ。
頃は秋の初めで、紅葉が見事だったという。
と、紅葉の赤に混じって何か奇妙な物が薮中に見えた。
派手なケミカルピンクの蛍光色だった。
近寄ってみると、小さな獣だったという。
青い目でどことなく兎に似ており、ぶるぶると小さく震えていた。
怯えて逃げることも出来ない風に見えた。
こんな奇妙な動物は見たことがない。
手にした杖でちょんと突付くと、ピィと甲高く鳴いて潰れてしまう。
そのままドロドロに溶けて、ピンク色の液体になってしまったそうだ。
ピンクの水が藪の下を這って逃げるのを、彼は黙って見送ったという。
『かくれんぼ』
41 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/10/30 22:55:35 ID:+novFQZk
知り合いの話。
小さい頃、彼はよく家の裏山で遊んでいた。
一人で遊んでいた時に、怖い思いをしたことがあるらしい。
土いじりしていると、いきなり後ろから声をかけられた。
「かくれんぼしようよ!」
驚いて振り向いたが、辺りには誰もいない。
それでも声は聞こえる。子供のようだ。
「最初は僕が鬼になるよ。100数えたら探すからね!」
声は一方的にそう宣言すると、数を数え始めた。
「い~ち、に~い、・・・」
軽くパニックを起こしかけたが、それでも「隠れなくては!」と強く意識した。
幸い見つかりにくそうな岩陰を知っていたので、そこに隠れたそうだ。
しばらくすると「どこにいるのかな?」と、楽しそうな声が追ってきた。
隠れている岩の前を何かが通り過ぎる。
ズンズンと重げな足音が聞こえた。
「どこ~?」という声が、異様に高い位置から降ってくる。
僕のお父さんより、ずっと大きい!
そう気がついてしまうと、もう歯の根も合わないくらい震えがきた。
結局彼は、日が暮れて家族が探しに来るまで、隠れ場から動くことが出来なかった。
えらく怒られたそうだが、それでもホッとした気持ちの方が強かったという。
現在、彼は地元の消防団に入っており、時々行方不明者の捜索にも駆り出される。
不明者が子供だった時は「例のかくれんぼで捕まったんじゃないか?」という気がしてならないのだそうだ。
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