∧∧∧山にまつわる怖い話Part12∧∧∧
『山歩きをしていると急に体がだるくなった』
466 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/09/05 23:18 ID:qudfF4Sa
友人の話。
一人で山歩きをしていると、急に体がだるくなった。
最初は足が重くなる程度だったが、次第にそれが全身に広がっていく。
そのうち、息をすることさえ苦痛になってきた。
首が痛くなり眩暈がし、頭の中がぐるぐると回り始める。
なぜか休憩することさえ思いつかず、ただ苦行のように足を進めた。
じきにキャンプ地に着いた。既に何人かがテントを設営している。
そのうちの男性一人が彼の姿を見ると、慌ててテントの中へ入っていった。
再び出てきた男性の手には、軍手が巻かれた火箸が握られていた。
それを構え持ち、ひどく怖い顔で友人に近づいてくる。
疲れきった彼の頭には、もう逃げようという気も起こらなかったらしい。
いきなり、火箸が彼の首筋に突きつけられた。
何かが引き剥がされるような感覚。
頭にかかっていた霞が取れて、急にまた物事がはっきりと考えられるようになる。
火箸をみた彼はぎょっとした。
大きな黒い蛭のようなものが、それに挟まれ身を捩っていたのだ。
どうやら男性は、そいつを友人の首筋から引き剥がしてくれたようだ。
手首を返して、蛭を地べたに投げ捨てる。
地面に落ちた蛭はじゅっと音を立て、溶けるようにして消えてしまった。
それからしばらく、友人は体調を崩してしまったという。
『鰐』
467 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/09/05 23:19 ID:qudfF4Sa
同僚の話。
出張で東南アジアに行った時のことだ。
かなり山奥の村に滞在したのだが、道端にある奇妙な物が気になった。
鉄条網で作られた柵なのだが、高さが異様に低く、彼の膝下くらいなのだ。
現地の通訳に「これは何だ?」と聞くと、「鰐除けの柵だ」と答えられる。
こんな山奥に鰐が出るのか!? 驚いていると、次のように教えてくれた。
歳を経て知恵を付けた鰐は、人間を好むようになる。
言い伝えでは、鰐たちは人が持つ知恵を欲するのだと言われている。
鰐はここから二時間ほど離れた川よりやってきて、道を通りがかる人を襲う。
人が通り過ぎると、後足で立ち上がり、背後から抱きつく。
前足で人を抱え込むと、そのまま二人羽織のようにして川へ帰るのだそうだ。
襲われた人が助けを求め叫ぶと、そのまま倒れてその人を下敷きにし、尻尾でぴょんぴょん跳ねて連れ去るのだとも聞く。
村人が早めに気がつけば、助かることもあるのだそうだ。
その時は、程度はひどいが怪我をするだけで済む。
そう言って、通訳は自分の腕をまくって見せた。
確かに、多くの大きな古傷が走っていた。
半信半疑で彼が見返すと、通訳は白い歯を見せてニッと笑った。
『鳥』
468 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/09/05 23:20 ID:qudfF4Sa
後輩の話。
バイクで山中の集落に立ち寄った時のこと。
ある屋敷の前で村人が集まって声高に騒いでいたそうだ。
何事かと尋ねてみると、先ほどまで巨大な鳥がいたのだと言われた。
あの屋敷の屋根に留まって、瓦をつついてほじくっていた。
皆が集まって騒ぎ出すと、気味悪い声で鳴いて山の方に飛んでいったよ。
ずっとここに住んでいるが、あんなものは始めて見た。
牛ほども大きくて、角みたいなのが生えてたんだ。
屋根を見やると、広い範囲に渡って赤瓦が剥がされている。
あたりの地面には、砕かれた瓦の破片が散乱していた。
その日の野営地では、空が気になって眠れなかったそうだ。
次の記事:
『夜中に母親に起こされた』『疲れたかい?』『就職出来なくて病んでた』
前の記事:
『祖母の来客』