∧∧∧山にまつわる怖い話Part10∧∧∧
『食事の挨拶』
181 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/06/27 01:48 ID:iQOikZQ2
友人の話。
顔見知りの家族と一緒に、キャンプに出かけた時のこと。
夕食を食べ始めると、娘が藪をじっと見ているのに気がついた。
「どうしたの?」と尋ねると、神妙な顔をして娘が答える。
「いただきますだって」
大して深く考えずに「そうだね挨拶しなくちゃね」と、娘の頭を撫でてやった。
娘は「ふうん」と答え、黙々と御飯を食べだした。
食事を食べ終えると、藪に向かって「ごちそうさま」と手を合わせる。
すると、彼女の耳にも確かに聞こえた。
藪の中から「ごちそうさま」と返す、小さなかすれた声が。
その時初めて、先ほどの娘の発言が、本当に理解できた。
慌てて亭主陣を呼び集め、藪の中を調べてみる。
半分土に埋もれた、古びたアルミ食器がそこに見つかったという。
他に怪しい物は、何も見つからなかったそうだ。
『デジカメ』
182 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/06/27 01:49 ID:iQOikZQ2
友人の話。
家族で実家の里山を散策していた時のこと。
買ったばかりのデジカメで、子供のスナップを取り捲っていた。
ひとしきり歩いて、そろそろ帰ろうかという頃合。
なぜかポケットの中でカチャカチャという音がする。
カメラを引っ張り出したところ、一緒に電池がこぼれ落ちた。
蓋が外れたかと思ったが、見ればしっかりと閉まっている。
電池を入れ直そうと蓋を開けると、中には不似合いな物が納められていた。
ちょうど電池の太さくらいの、団栗が六個。
いつの間に入れ替わったのか、まったく気がつかなかったそうだ。
『人間臭い顔』
183 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/06/27 01:50 ID:iQOikZQ2
友人の話。
彼は学生時代、山道を自転車で通学していた。
ある日、考えに没頭しながらペダルを漕いでいると、何かが肩に当たって落ちた。
慌てて我に帰り、自転車を停めて地面を確認した。
大きな蝙蝠が、ひっくり返ってもがいていた。
それまで見たことがない大きさだったので、思わずまじまじと見てしまった。
やがて起き上がった蝙蝠は、じろりと彼を見上げた。
不思議に、どことなく人間臭い顔をしていたそうだ。
「やれやれ、言葉の一つもなしか。この郷も人気(じんき)が悪くなったもんだ」
いきなり蝙蝠が滑らかに毒づいた。
呆然とする彼を残し、蝙蝠は林の中に飛び去ったという。
「“じんき”なんて言葉、その時まで全然知らなかったよ・・・」
蝙蝠に馬鹿にされたことで、彼はひどく落ち込んでしまっていた。
どうやって慰めれば良かったのか、いまだにわからない。
次の記事:
『テレビでBL特集』『父はアニメやゲームに興味無い』『有給申請した時』
前の記事:
『ツイッターのフォロワーに数年間ストーカーされてた』