∧∧∧山にまつわる怖い話Part9∧∧∧
『綺麗なお姉ちゃんがいるよ』
259 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/05/24 01:00 ID:Yu7Z+HJN
友人の話。
子供をつれて森林公園に行った時のこと。
その公園の外れはダムにつながっており、遊歩道で周囲を回ることができる。
畔のベンチに腰掛け、娘と二人でのんびりと水面を眺めていた。
突然、娘が彼の腕を引っ張った。
「綺麗なお姉ちゃんがいるよ」
綺麗なという単語に反応して見回したが、あたりには誰一人いなかった。
娘は真面目な顔でダムの方を指差している。
彼は娘が示す方向に目をやった。
赤毛のショートカットで、若々しい美人が笑っていた。
ダムの真中で、首から上だけを水上に出して。
彼と目が合うと、女性は口を吊り上げて、ニマっと笑いを深めた。
口元から異様に長い、尖った犬歯がのぞいていた。
次の瞬間、首は水の中に姿を消してしまう。
夢かとも思ったが、確かに水面には、波紋が広がっていた。
彼は娘を連れて、すぐに帰宅したそうだ。
『奇妙な人影』
260 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/05/24 01:02 ID:Yu7Z+HJN
知り合いの話。
彼女がまだ幼い頃、山の棚田で不思議なものを見たという。
夕方の畦道を里の方へ下って、家へ帰る道の途中。
ふと気がつくと少し先の道端に、人影が現れていた。
頭の先から足元まで墨を流したかのように、全身が真っ黒だった。
奇妙なことに、ぶわぶわと、全身が脈動していたらしい。
「誰だろう?」そう思って顔を見上げたそうだ。
すると、向こうは見られるのが嫌だというように背筋を伸ばした。
同時に、その身長がぬっと伸び上がった。
彼女が目を上に向けるのに合わせて、どんどん背が伸びて高くなっていく。
意地でも顔を見てやろうと思い切り反り返る。
無理をし過ぎたか後ろに転倒してしまい、ぺたんと尻餅をついてしまった。
その途端、影ははじけて霞のように空へ溶け、消えてしまったという。
家に帰ってその話を家族にしたところ、祖父から頭をなでられ言われた。
「ひっくり返って助かった。良かったな」
ただ祖母が青い顔をして、彼女に塩をふり掛けたのには参ったそうだ。
当時は何とも思わなかった彼女だが、
「もしもあの時転げていなかったら、一体どうなっていたんだろう?」
と最近になって気になり、仕方がないのだという。
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