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『遠隔透視』

師匠シリーズと同じ作者。
新 鼻 袋 ~第四夜目~

789 :ゴーストハンター:04/09/12 20:33:38 ID:U9pmuKAu
「遠隔透視」

カメラマンの吉田は慣れた手つきでテレビカメラを対象に向けた。
「はい、撮影入りまーす」
撮影場所は夕暮れ間近、都内某所の喫茶店だった。
レンズを向けた相手は黒いヴェールで顔を覆った女。
占い師だというが、どういうツテで見つけてくるのか。
番組の企画はこうだ。
都心の高級ホテル『新宿グランド』の1120号室にゲストの有名人を配置して、
それを事前になんの情報も与えていない自称超能力者に透視させる、という大げさなものだ。
それもカメラを4台も出し、別々の場所で4人の人間に同時に透視させるという生番組である。
「・・・というわけで、本業は占い師でいらっしゃっるそうですが透視もお得意ということで、
 さっそく占・・失礼、透視していただきたいのですが」
進行役の男性タレントが愛想のいい笑顔を向ける。
「新宿グランドの1120号室ですね」
ヴェールの女は静かに答えた。


790 :ゴーストハンター:04/09/12 20:35:39 ID:U9pmuKAu
いきなりの要求にも平然としている。
もっとうろたえるかと思ったのに。
吉田はレンズ越しに女の涼しげな口元を見ていた。
この番組に一切の打ち合わせはない。
超能力者はもちろん、スタッフにも情報は降りてきていない。
1120号室で待つゲストが誰なのか、吉田も知らされていなかった。
おそらく、チーフディレクターやプロデューサーだけの極秘事項なのだろう。
生番組がそんなことでいいのか、と思われるかもしれないが、
本来この企画は自称超能力者のインチキを暴く、とまではいかないが、
意地悪なセッティングをして彼らがうろたえるのを楽しむ、というものなのだ。
だからテレビ的には、この目の前の女がクールなままでは面白くないのだが・・・
「わかりました」
大きな水晶玉に手をかざしていた女が顔をあげた。


791 :ゴーストハンター:04/09/12 20:36:58 ID:U9pmuKAu
「え、本当ですか」
わざとらしい演技でタレントがマイクを向ける。
すかさずズームを顔へ。
「いません」
「へぁ?」
タレントは変な声を出した。すぐに咳き込んで聞き返す。
「新宿グランドの1120号室には誰もいないと?」
「そうです」
スタッフの間にも動揺が広がる。
「えー、予想外の回答がでました。他の場所ではどうなっているでしょうか。一旦スタジオにお返しします」
吉田も驚いたが、すぐにピンときた。
なるほど。ウチの局でこの時間枠ということは、
このあいだやっていたオカルト叩き番組と似たような企画ということは十分予想がつくだろう。
透視させた挙句、その部屋には誰もいないなんていうオチはありうる。


792 :ゴーストハンター:04/09/12 20:37:43 ID:U9pmuKAu
おそらく超能力者たちも、
どうとでもとれるような曖昧な人物の特徴を並べるだけで、あとで言い訳が利くように網を張ってくるだろうから、
このオチはそれを逆手にとったアイデアだ。
ぐぅの根も出ない彼女らを笑いものにしながらエンディング。
吉田は勝手に段取りを想像した。
おっと、この占い師はそれをさらに逆手にとって牽制してきたんだった。
それに「いない」と言っておけば、例えゲストがいたとしても、
何かが妨害して見えなかったとかそれなりの言い訳ができそうだ。
感心して黒いヴェールの女占い師を見ると、その口元が微かに笑った気がした。


793 :ゴーストハンター:04/09/12 20:39:15 ID:U9pmuKAu
「実はいないって、神谷Pならやりそー」
「いやあ、これだけ金かけてそれはないよ」
ONが外れてあちらこちらでスタッフ同士の雑談がはじまった。
吉田は放送中の画面を中継車の中に入って見た。
番組はすべての透視結果が出揃って、いよいよ新宿グランドの中継へと移るところだった。
番組冒頭から『1120』のドアを固定で映していたカメラが動いて、メイン進行役の男性アナウンサーが部屋の前に立った。
まだドアは開けない。ここでCMだ。
CMが終わると次に透視結果のおさらい。
案の定他の3人の超能力者はどうとでもとれるような抽象的なことばかり言っていた。
へたくそな絵を描いたロシアの少女もいた。
あれでは男か女かもわからない。
最後に女占い師の場面のVTRがきた。


794 :ゴーストハンター:04/09/12 20:40:51 ID:U9pmuKAu
『いません』
『へぁ?』
『新宿グランドの1120号室には誰もいないと?』
『そうです、今は』
そしてこれまでの流れをまとめたところで音楽が盛り上がり、カメラがドアに近づいた。
吉田は一瞬、今のVTRに違和感を覚えた。

ついにアナウンサーの手でドアが開けられた。
そして誰もいない室内が全国ネットで生中継される。
「あ、いませんッ。誰も、誰もいません!」
アナウンサーの驚いた声が響く。
吉田のとなりで中継を見ていた誰かが言った。
「こりゃ、やらせじゃねーな」
すぐに吉田たちのチームにスタンバイの指令が来た。
女占い師だけがこの結果を当てたことになるからだ。
中継では部屋内に入ったカメラの前に、我らが名物プロデューサーが立ち、趣旨説明を始めていた。
「よっしゃ最後の仕事!」
スタッフの声に吉田は立ち上がった。


795 :ゴーストハンター:04/09/12 20:41:56 ID:U9pmuKAu
最後に女占い師へのインタヴューが行われ、番組は一応成功という形で幕になった。
インチキ超能力者を笑いものにも出来たし、ホンモノかと思わせるような的中者も出た。
否定派、肯定派ともに楽しませることが出来ただろう。
「おつかれさまでしたー」
撮影終了の声としては張りがないが、営業中のホテルなのでしかたがない。
拍手をする番組スタッフたちを尻目にプロデューサーの神谷は、チーフディレクターの織田に話しかけた。
「お疲れさん。まずまず成功でよかったな」
「お疲れさまです。しっかし、ほんとうにゲストなしっての当てられるとは思わなかったですね」
「あの占い師、だれの紹介だっけ。本物だか分からんが 使えそうだな」
「ええ、さっそく次の特番考えないと」


796 :ゴーストハンター:04/09/12 20:43:12 ID:U9pmuKAu
神谷は撮影終了したばかりの1120号室のベットに腰を掛けた。
他のスタッフはみんな部屋の外に出ている。
「しかし、ゲストなしなんて思いきったこと考えますね」
織田もホッとしたような顔で隣に腰掛けた。
「うん?まあな・・・」
神谷はなにか忘れたような違和感を覚えて、思わず胸を探った。
タバコがない。なんだ、これか。
「織田君、タバコくれないか」
呼ばれて織田は考え事をしていたように、「あ、ああどうぞ」と、どもってラークを差し出した。
神谷は深く煙を吸い込む。
なにか、まだ忘れているような気がする。
灰皿に手を掛けたところでビクリとした。
新品の灰皿には、根元まで灰になったタバコが一本。
微かな紫煙が立ち昇っていた。
「織田君。本当に今日はゲストはいなかったよな」
「ええ、いません。いなかった・・・はずです」
二人は顔を見合わせて、強張った照れ笑いをした。


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