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『こどもの一生』


後味の悪い話 その156
http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/occult/1427669698/

156 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2015/04/19(日) 12:44:07.26 ID:gF0qVZ3J0.net
中島らも原作『こどもの一生』。
1990年初演のお芝居で何度か再演されているが、2012年版だけが後味悪い。


瀬戸内海に浮かぶ、携帯電話も通じない孤島が舞台。
その島には、医者と看護師が1人ずつだけいる診療施設がある。
その島に集まったのは、日常生活でストレスを抱え心身に影響が出ている女2人、男1人の患者。(公演により職業は異なる)
3人に加え、不祥事から逃れるために島に逃げこみ、患者のふりをする横柄な大企業の社長、
そして社長の言いなりで気の弱い秘書の男。
この島で行われている『画期的な治療法』とは、
暗示にかかりやすくなる薬と催眠術によって患者を子供と思い込ませ、自由に行動させることにより、
ストレスから立ち直らせようとする心理療法。
処置を受け、患者3人と社長、秘書は全員子供のように行動し始める。
はじめは「子供なんだからこうするだろ」のような発言も見られるが、次第に自分が大人だったということも忘れていく患者たち。
その中でも、社長はガキ大将のように横暴なふるまいをし(秘書の昼食を奪うなど)、

やがて女性患者を叩くなど暴力的な行動を起こし始める。
そしてそんな社長の腰ぎんちゃくになる秘書。
それに嫌気がさした他の患者たちは、ある仕返しを思いつく(発案者は男の患者)。
社長以外の全員で示し合せ、自分たちだけが分かる共通の話題で盛り上がって社長を仲間外れにしよう、という計画だった。
秘書を引き入れる事にも成功し、その日の夜、夕食の時間に、
社長以外全員が『山田のおじさん』という人と知り合いだった、という話題で盛り上がる。
計画通り、社長はいじけてしまう。

患者たちはしてやったりと喜んでいたが、その後奇妙な現象が起こる。
『山田』と名乗る男が突然診療所を訪ねてきたのだ。
看護師、医者がいない中で対面した山田は、髪形、口癖といった特徴が全て考えた設定と同じ。
予想外の出来事におびえ、
本当に自分たちの考えた山田のおじさんが具現化したのかを調べようと、設定を考えたときのメモを取り出すと、
患者たちの知らない書き足しがあった。
『山田のおじさんは、一見ただの変なおじさんだが、狂っている。山田のおじさんは、出会った人みんな殺すのだ』


157 :2/3@\(^o^)/:2015/04/19(日) 12:46:23.47 ID:gF0qVZ3J0.net
いじけて部屋を飛び出した社長がその後メモに気付き、怒って書き足したものだった。
患者たちが書き足しに気付いた直後、看護師の悲鳴が。
社長が風呂で溺れ、意識不明だという。
山田のおじさんはおかしい!社長も山田のおじさんが溺れさせたんだ!と医者に主張するが、医者は取り合ってくれない。
秘書はふと思い出し、島に来た直後に看護師から出された心理テストを山田のおじさんに聞く。
「あなたがマンションのベランダに出ると、向かいのマンションで残虐な殺人が行われていた。
 殺人犯はこちらに気付くと、こちらを指さして何かを言っている。
 さて、何を言っている?」
それに山田のおじさんは答える。
「あ、答え二つも思いついちゃったよ。
 一つは、犯人は目撃者がいる階を指さして数えている。もう一つは、目撃者に対し『楽しいよ、一緒にやろうよ』と誘っている」
山田のおじさんの異常性を確信し、自分たちだけで逃げ出す患者たち。
すると突然山田のおじさんはチェーンソーを持って現れ、看護師、医者を惨殺する。
さらにメモを処分しようとした男性患者も逃げ遅れてしまう。

本来は立ち入りを禁止されていた洞窟に逃げ込む秘書と女性患者2人。
「私たちが大人だったらよかったのに。そしたら山田のおじさんなんかこわくないのに」
という女性患者の発言で、ふと自分が子供だということに違和感を持つ秘書。
更に、洞窟の中に一面に生えているキノコが食事に出されていたものと同じであることに気付いた秘書は、
ついに自分が大人であることを思い出す。
これをきっかけに、
自分たちの催眠を維持するために幻覚作用のあるキノコを食べさせられていたこと、
山田のおじさんはその幻覚作用によって現れた幻覚であること、
自分は社長に食事を奪われていたため幻覚キノコの摂取量が少なく、目覚めるのがはやかったこと、
に気付く。
それを自分に言い聞かせることで、山田のおじさんは消滅し、全員が大人に戻る事が出来た。


158 :3/3@\(^o^)/:2015/04/19(日) 12:49:02.90 ID:gF0qVZ3J0.net
中島らもさんの原作および過去の公演はここで終わりらしい。
だが、2012年版ではこの後に後味の悪い続きがある。

山田のおじさんが消滅した後、洞窟を出る患者2人と秘書。
外には、医者と男性患者が待っていた。
「無事だったんですか。社長は?」という秘書の問いかけに医者は苦々しげに答える。
「何を言ってるんですか。あなたたちが溺れさせたんでしょう」
山田のおじさんが起こしたと思っていた行動は、全て患者と秘書がやっていたらしい。
『楽しいよ、一緒にやろうよ』という言葉も、
社長の頭を浴槽に押し込んでいる患者たちを医者が止めた際に、患者たちが医者に対して言った言葉だったという。
愕然とする秘書の耳にヘリの音が聞こえてくる。警察を緊急無線で呼んだらしい。
「さあ、行きましょう。特殊な実験中に起きた事件だ、情状酌量の余地はある。もちろん私にも責任がある。大人として、ね」
医者の発言に促され、よろよろと歩いていく患者たち。
その姿を見ながら、看護師が医者に聞く。
「それで通りますかね?」
「通るさ。山田のおじさんなんていなかった。みんなそう思いたいだろう。じゃ、あとは頼んだよ」
看護師は「もったいないけど親株あるし…」とつぶやきながら、洞窟の中のキノコに油をまき、火をつけ焼き払うのだった。


観たのは2012年版だけだったのだが、元の話を知った時にどういう意図でこの付けたしをしたのかなあ、と思った。
最後の場面以外にも、医者と看護師が何か巨大な後ろ盾(「上からの指示」というセリフとか)を持ってるらしい描写があり、
何者なんだこいつら…という感覚が鑑賞後にある。


次の記事:『医療事故の被害者』
前の記事:『ゴリラショーの飼育員』
[ 2015/06/17 ] 後味の悪い話

[ 85925 ] NO TITLE

どういう意図で?って
劇中で全てを明らかにしない事で話に奥行きを出し、観客の想像力に訴えかける。極々一般的な手法だと思うけどなぁ
[ 2015/06/17 ] ◆-

[ 85927 ] NO TITLE

まあ彼なりの『思い』があったのだろうね
大声で言うのは憚られるけど気付いて欲しいと思う何かが
[ 2015/06/17 ] ◆-

[ 85934 ] NO TITLE

初演の方を観たことがあるけど。観劇後に何とも言えないほっこりとした
気分になって、良いものを観たと思ってたのに。
あと、初演で山田のおじさんを演じた古田新太氏の天才っぷりに、惚れ直した思い出がある。

再演はそんなラストになってたのか…
そっちは観てなくて良かったなぁ。
[ 2015/06/17 ] ◆-

[ 85937 ] NO TITLE

彼なりの思いって、中島らもは2012年にはとうの昔に鬼籍の人になってますがな
[ 2015/06/17 ] ◆-

[ 85938 ] NO TITLE

※85925
二次創作的な余計な設定の付け足しは
観客の想像力を逆に狭ると思うけどな
[ 2015/06/17 ] ◆-

[ 85942 ] NO TITLE

※85938 それは、付け足されたことに対するあなたの感想だね。
報告者の問いかけた付け足す意図は85925の答えの方が回答になっていると思うよ。
[ 2015/06/17 ] ◆-

[ 85945 ] NO TITLE

※85942
要所要所明らかにしてベクトルを示し、
観客の想像を要らん方に向けてるから蛇足になってると思ったけど…
元々の話の方が85925の言う意図に合ってると思うけどな
[ 2015/06/17 ] ◆-

[ 85969 ] NO TITLE

自分も85945に賛成。
報告者は、どういう意図で原作に無いベクトルを付与したのか、と言ってるんじゃないかな?
85925の※はなぜ付け足したかの回答にはなって無いと思うんだ
付け足さない版で終われば、それこそ観客が自由に良かったね、いや本当は山田のおじさんはいたんだ、
あるいは付け足し版のように裏に巨大組織や陰謀が⁉︎と想像を巡らせられるんじゃないかな

[ 2015/06/17 ] ◆-

[ 85976 ] NO TITLE

同じ料理でも作り手に「基本形な者」と「アレンジを好む者」が居り、食べる側も同様

実際に劇を観ていないし、本スレ報告者の主観の入った文章だけでは、蛇足だったのか否かは分からないけど、たぶん報告者は原作ストレートが好きなタイプだったんだろう
まあ、「どういう意図で潤色したか?」推測は出来ても真相は脚本家に聞かないと分からないね
[ 2015/06/17 ] ◆-

[ 85978 ] NO TITLE

調べてみたら「こどもの一生」のDVDが有るね
演出は初演からG2という方で、2012年版は現代に合せて脚本を改訂したらしい

出演者のコメント読んでみたけど面白そう
[ 2015/06/17 ] ◆-

[ 86123 ] NO TITLE

現代にあわせて?
つまり現代が人が人を殺したいと思うろくでもない時代だと思っているということか。
そりゃ賛同を得られるわけがないな。そういう趣味の人は別として。
[ 2015/06/19 ] ◆-

[ 86203 ] NO TITLE

ドラえもんと一緒だね。現代風アレンジされると、以前の原作が好きな人に受け入れられない。
[ 2015/06/19 ] ◆-

[ 86212 ] NO TITLE

原作は、gF0qVZ3J0.net含めほとんどの人が観てないわけで、ドラえもんの馴れや愛着とは別もんだと思うが

それにしても、2012年度版は、このあらすじだけだと、何人か指摘してる通り、蛇足に見える

原作であった無垢な子ども神話への皮肉(結局弱者いじめ、強者へのすり寄り、仲間外れが起こる)、
子どもが生み出す狂気は「大人」も「子ども」も殺せるほど強力で、その特徴は安直なまでのサイコパスとして描かれ(つまり、外面では分からない二面性、「通常」社会では理解されえない残虐性)、圧倒的なリアリティがあり、そして心身に支障が出るほどのストレスを抱えていたのに、望んで大人に戻るという矛盾 これだけでも色々考えさせられるし、テーマが全然色あせてない

2012年度版は、それらがぼやける 医療者という観察者視点と、そのバックの権力を作り出してしまい、しかも観察者と権力は事の真相を知っているし、患者たちに内緒で何かストーリーをでっちあげた様子すらある すると、例えば、権力に社長を消すことを命じられ、いじめがはじまったのに乗じて殺し屋連れてきて髪型と口調あわさせて、殺させて、で患者たちのせいにしたとかできる…しかし全然深みがない それにどのストーリーが本当だったか考えたところでそれを通じて見えてくる現代社会に訴えかける問いがない 少なくとも、観察者と権力者の存在が、原作のテーマとうまく溶け合っておらず、フォーカスポイントが散漫になっている

…アレンジは、原作者に並ぶかそれを超えるぐらいの才能の持ち主でなければできやしないということを示す一事例
[ 2015/06/20 ] ◆-

[ 86477 ] NO TITLE

2012年版だけってことは、つまりそういうことなんだろうな。
[ 2015/06/22 ] ◆-

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