∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part26∧∧
『歌う橋』
159 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/05/15(月) 01:13:15 ID:2vTtIcn10
知り合いの話。
彼の実家の山村に、歌う橋があったのだという。
夜中にそこを通りがかると、橋の下から軽やかな歌声が聞こえてくるのだと。
彼自身はよくある怪談だと思っていて、まったく信じていなかった。
しかしある夜、彼も実際に歌声を聞いてしまった。
澄んだ女性の声が微かに聞こえてくる。
不思議なことに少しも怖くない。橋の下を覗いてみたが誰も居ない。
坊やはどこかな? 坊やはどこ行った?
そういう呼び掛けを延々と、調子よく繰り返している。
変わった歌だなと思ったが別に害がある訳でもなく、橋を後にした。
その後も何度か、その歌を耳にしたという。
社会人になり村役場に就職した彼は、村の昔話を本にする仕事を手掛けた。
その時初めて、件の橋を造る際に人柱が使われたという話を知った。
人柱は女性だったらしいが、詳しい素性は伝わっていない。
・・・おそらく坊やが居たんだろうな。そう思った。
現在その付近には護岸工事が成されて、橋も新しく架け替えられた。
コンクリート製の新しい橋は、歌わなくなったと聞かされている。
『クビリの木』
160 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/05/15(月) 01:14:53 ID:2vTtIcn10
知り合いの話。
猟師をしていた祖父と、一緒に山に入っていた時に教えられたこと。
「どこにどんな木が生えているか、ざっとでいいから覚えておけ。
見慣れない木がある時は近よるんじゃない。
この山にはクビリの木というものがあって、これに捕まると首を括ってしまう。
だから怪しい樹木、覚えのない樹木は、極力避けるようにな」
そう言われたのだという。
「もっとも、木の区別がつく程の知識、俺には少しもないけどね。
頻繁に山に入ることはないけど、爺ちゃんにもっと話を聞いておけば良かったよ」
彼はどことなく寂しそうな顔をした。
『クビレオニ』
833 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/06/22(木) 21:58:09 ID:OjzKT0PI0
知り合いの話。
幼少時に手伝いで、薪拾いに山に入っていた時のこと。
好奇心旺盛だった彼女に、お祖父さんが言って聞かせたことがある。
「紐とか蔓とか、細くて長い物は拾わないようにな。
そいつがクビレオニの物だったら、首括っちまうから」
クビレオニとは縊れ鬼と書くそうで、首を吊って鬼になった亡者のことを言う。
鬼は山に入った者誰彼構わず、それに首を吊らせるよう仕向ける。
その者の前に紐や綱を転がしておいて、うっかり手に取った者がいれば、
死にたくなるような暗い言葉を囁き続けるのだと。
誰かが首を吊れば、代わりにその自殺者が新しい鬼となるとも言われていた。
「自分でおっ死んだ輩は、成仏できないって聞くからな。
楽になりたいもんだから、行きずりの者でも取り殺そうとするんだろう」
「自殺が多い場所っていうのは、やっぱり鬼がいるのかもしれないよ」
彼女は声を潜めてそう言った。
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