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『彷徨える女』

旧阿部倉トンネル跡 怪奇話3
死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?17

670 :投稿人@どぇーす:02/08/24 02:30
今から5年ほど前の話である。

私の父の知り合いの奥さんの話なのであるが、この女性は長きにわたってある病気で苦しんでいた。
様々な病院を転院し、最終的に某病院で、あるステロイド系の薬剤注射を用いた治療を受ける事となった。
この薬剤の効果は劇的で、彼女の病状はみるみるうちに好転した。

が、治療を始めて数ヶ月が経った後、彼女に異変が起こった。
彼女が奇妙な行動をとる様になった。
「自分の体じゅうに虫が這いずり回っている」と叫んで体中をかきむしったり、
「部屋の隅に黒い小人が盆踊りをしている」等と、意味不明なことを口走ったりした。
最後には「ウガが追いかけてくる!ウガが追いかけてくる!来るなぁ!来るなぁ!」と叫んで、病院中を駆けずり回る始末。
ついに彼女は隔離病棟に移される事になった。

担当医師は、こんな事になった原因が全くわからなかった。
が、1年後に驚愕の事実を知る事となった。
なんと治療に用いられていたステロイド系薬剤に、
『中枢神経に障害を与える、重篤な副作用を引き起こす危険性がある』事が明らかになったのである。
上記の事実が明らかになるまでの間、ずっと投薬治療は行われ続けた。

当然。即刻、投薬は中止されたが、既に彼女はその薬剤によって相当に精神を蝕まれていた。
その後の数年間、彼女は幻視・幻聴に苦しむ事となった。
そしてある日、彼女は車で外出し、行方不明になった。
彼女の夫(父の知り合い)は必死になって彼女の行方を捜したが、彼女は見つからなかった。


671 :投稿人@どぇーす:02/08/24 02:31
そして半年が過ぎた。
私の父と彼女の夫は釣り友達で、釣り場へ向かうためによく横・横道路を利用していた。
久しぶりに静岡方面に遠出する事となり、朝早く車で出発した。

車が横・横道路の横須賀側入り口に入るちょっと前の事である。
道が左右に分かれているのであるが、
彼女の夫は、見慣れた車が工事中の左手の道に止まっている事に気がついた。
「悪い。*ちゃん(私の父のニックネーム)。ちょっと車を、左方向につけてくれないかなぁ?」と、思わず口走ってしまった。
父は不思議に思いながらも、車を左方向に向けて一時停止した。
彼女の夫は車を降り、乗り捨てられた車のほうに歩いていった。
「おい!**ちゃん。どこ行くんだよぉ」と父は声をかけたが、
彼女の夫の様子がただならない事に気づき、後についていった。
呆然と立ち尽くす彼女の夫。
「この車、うちのだ・・・」
これを聞いてピンときた私の父。
まるで何かにとりつかれた様に先を進んでゆく彼女の夫。後に続く父。
道は上り坂となって先に続いていた。
その先は旧阿部倉トンネル跡である事を、まだ二人は知らなかった。


672 :投稿人@どぇーす:02/08/24 02:32
道はトンネル跡で行き止まりになっていた。
が、彼女の夫は進む事を止めようとしない。
「**が近くにいるかもしれない」
「まさか・・・こんな所に・・・」と父。
「!」「?」
二人はほぼ同時に同じ方向を向いた。
ある方向から異様な臭いが漂っている事に気がついたのだ。
この時父は最悪の状況を想像した。そしてその予感は見事的中する事となる。
彼らの十数m先にグレー色の何かが転がっていた。
すぐさまそれに向かって歩き出す彼女の夫。
が、その時。耳をつんざく凄まじい音が響いた。
あまりの音の大きさにたじろぐ二人。
見ると、無数の黒い小さな虫の群れが飛び回っていた・・・無数のハエの群れだった。
色がグレーがかっていたのは、無数の蛆が死体をむさぼっていたからであった。
周囲には数個のポリタンクが散乱していた。
(焦げているものもあり、それは生々しい状況だったと、後に父は私に語った)
絶句する二人。
ちなみに父は見事に腰を抜かしてしまった。彼女の夫は呆然とするばかり。
とりあえず父が携帯電話で110番通報。

20数分で警察が到着し、二人は事情徴収を受ける事となった。
刑事の話によれば、「今年はこれで3人目です」との事。
後に歯型及び血液型から、遺体は彼女であることが確認された。
死体はかなりの程度で焼け焦げていた事から、ガソリンで焼かれた事によるものという結論となった。
司法解剖及び組織検査の結果から、彼女は生きたまま焼かれた事が明らかとなった。
遺書は見つからず、現在でも自殺か他殺か不明との事である。


677 :投稿人@どぇーす:02/08/24 03:17
数年が過ぎ、ある若者たちの一団が、旧阿部倉トンネル跡を肝試し走破するべく集合した。
この時、参加者の中に髪の長いかわいい娘がいた。
野郎どもの目的は、ここでいいかっこして彼女にアクセスするチャンスを作ろう、という魂胆だった。

トンネルに入って数分後。
彼女は、誰かに見られている、とても気持ちの悪い気配を感じ取っていた。
彼女は霊感の強いほうではない。
が、何かねっとりした視線が、自分に向けられている事を感じていたのである。
「何か私・・・ちょっと気分が悪い・・・」と、彼女がポツリともらした。
「大丈夫。大丈夫。何も起こりゃあしないって」と男性参加陣。
「あたしも気持ち悪~い♪」と女性陣。
「あ~そうかい。そうかい。お気の毒に」
「なによぅ。**ちゃんばっかり、信じらんな~い」
「うっせーなぁ(おまけどもが)」
「何ですって!」


678 :投稿人@どぇーす:02/08/24 03:17
ああ、また始まったかと、彼女はうんざりした。
が、その時。「アナタキレイネ」という声がまじって彼女の耳に入ってきた。
「!」
「気のせい、気のせい。早く出たいなぁ・・・こんな所」と彼女は思った。
が、次の瞬間、
「アナタキレイネ・・・トテモキレイ・・・」
はっきりと分かる声が彼女の耳に聞こえてきた。
低く抑揚のない、が、何か威圧感のある声が。
えっ?・・・私?
「ソウヨ・・・アナタ・・・アナタ・・・」
「!!!!」
「どうしたの?**ちゃん。びくっとして」
「ちょっと・・・あたし。何か変な声聞いたんだけど・・・」
「????」
「????」
「????」
「・・・(オイマジカヨォ・・・)何て?」
男の一人が尋ねた。
「あなた、きれい・・・だって」
「へ?」
場内大爆笑。
「**ちゃんって、意外と自意識つよいんだぁ♪」と女性陣。
「違うよぉ。ホントに聞こえたんだってばぁ」
「脅かし方は下手だねぇ」と男性陣。


679 :投稿人@どぇーす:02/08/24 03:18
と、その時。
ぺちゃっ・・・ぺちゃっ・・・ぺちゃっ・・・ぺちゃっ・・・ぺちゃっ・・・ぺちゃっ・・・ぺちゃっ・・・
何か、水が滴り落ちるような音が、後ろから聞こえてきた。
それも、徐々に大きくなってくる。
「!」「!」「!」
そのうちその音は、何か濡れているものを引きずっているような音に変わってきた。
「何か、私たちの後からついてきてる」
「おい、冗談だろ?」
「天井から水がたれてきているだけだって」
ところが、メンバーの中で自称霊感のある男性(仮にAとしよう)は、後ろを振り返って絶句した。
「お前ら!!走れ!!」とAは叫んだ。
ただならぬAの様子に全員が浮き足立った。
「おい、何なんだよ?」
「何大きな声上げてんのよ!」
「いいから!走れ!」
ともかく一団は一斉にトンネル出口へと走り出した。髪の長い彼女を除いては。
どうして?体が動かない!!
恐怖心のせいなのか、それとも別の何かなのか?彼女は身動き一つ出来ない状態になっていた。
まさかこれって、金縛り?やだぁ!こんなの!!
ずりゅっ・・・ずりゅっ・・・ずりゅっ・・・ずりゅっ・・・ずりゅっ・・・ずりゅっ・・・
音はだんだん近づいてきた。


681 :投稿人@どぇーす:02/08/24 03:48
おとうさん!おかあさんっ!と思った次の瞬間。音はぴたりと止んでしまった。
・・・あれ??
あ、体が動く。あれ??何で??
「アナタミタイナヒト・・・マッテタノ・・・ズットズットマッテタノ・・・」
すぐ耳元で声がした。
「きゃああああああっ!!!」
彼女は逃げ出した。・・・が、出来なかった。
何者かが自分の髪を掴んでいる。
何?何?何何何何????
彼女が振り返った瞬間!
ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!
凄まじい彼女の悲鳴が、トンネル内にこだました。

走っていた全員がその声に驚き立ち止まった。
「彼女・・・つかまっちまった・・・」
Aがうわごとのようにつぶやく。
「何につかまったんだよ!おい!おい!A!しっかりしろよ!!」
「あれっ?**ちゃん、いないよぉ・・・」
「!」「!」
「まさか・・・おい!おまえら、戻るぞっ!」
「おい・・・何だよ。見捨てる気かよ!お前ら!」


682 :投稿人@どぇーす:02/08/24 03:49
トンネル内を静寂が包んだ。
Aを含む数人の男性が来た道を戻って、彼女を探すこととなった。

しばらくして、懐中電灯の明かりが人影を捕らえた。
誰か倒れている・・・彼女だった。
「おい!しっかりしろっ!大丈夫かぁ!」
Aが彼女を抱き起こそうとしたとき、手にヌルッとした感触が走った。
「?」
「何だこりゃあ・・・って、血??」
「おい!しっかりしろっ!大丈夫かぁ!」
「おい・・・A、彼女をよく照らしてみろよ・・・」
「!」「!」
「おい・・・これって・・・」
彼女は頭から相当量の出血をしていた。倒れた時に頭を打ったのだろう。
が、彼女の頭には髪が一本も無くなっていた・・・というより、何かに根こそぎ引き抜かれていたのである。
絶句する彼らの頭上で、抑揚のない声が響いた。
「ワタシ・・・スットマッテタノ・・・ズットマッテタノ・・・
 ワタシノカミ・・・モエテナクナッチャッタカラ・・・
 ホシカッタノ・・・キレイナカミガ・・・ズットホシカッタノ・・・
 コンドハ・・・アナタタチノ・・・ハダヲチョウダイ・・・
 ハハハハダダダダヲヲヲヲチョウダアアアイイイイ!!」

彼らは彼女を抱え、ほうほうの呈で逃げ出した。

この事があって以来、髪の長い女性や肌のきれいな人がトンネルに入ると、トンネル内を彷徨う何かに襲われる・・・
という噂が、まことしやかに流れている。

関連話:『ミンキーモモ』 『まるはっちん』


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前の記事:『まるはっちん』
[ 2010/12/06 ] 死ぬ程洒落にならない怖い話

[ 8698 ] 移転前のコメント欄

[ 45959 ]
Aの正確な判断は良いが、
可愛い女1人守ってやれない男達は…
[ 2012/10/05 ] NO NAME ◆-

[ 57805 ]
彼女にアクセスってなんぞ
[ 2013/01/04 ] NO NAME ◆-
[ 2013/03/10 ] ◆Ahsw8Nok

[ 21019 ] NO TITLE

>彼女にアクセスってなんぞ
たぶん「彼女にアプローチ」と言いたかったと思われ
[ 2013/06/24 ] ◆-

[ 39728 ]

追い回されても遺体を置いて逃げなかった男性陣に拍手
[ 2013/12/22 ] ◆-

[ 39750 ]

39728
遺体?
髪を取られた彼女なら、亡くなったとは書かれてなくね?
[ 2013/12/23 ] ◆-

[ 63186 ]

妻が行方不明になってたった半年で釣りにいそしめる旦那が怖い
[ 2014/09/19 ] ◆-

[ 63633 ] NO TITLE

>>63186
文中のどこにも行方不明後半年で「釣りにいそしむ」とは書かれていませんよ
もともと釣りが趣味の『彼女の夫』が休日はどこへも出かけずふさぎ込んでいるのを、
釣り友達である報告者父が見かねて半年経って強引に連れ出したのかなぁ
と、おっさんは思った
[ 2014/09/24 ] ◆-

[ 72610 ] NO TITLE

まあいいじゃねえかよ、おっさん
素人の集まりなんだからさ
タダで読んでんだし、あんまり四の五の言いなさんな
[ 2015/01/13 ] ◆-

[ 77830 ]

トンネル出るまではWelcome to Silent Hill!か、と思ったよ
[ 2015/03/19 ] ◆-

[ 77837 ] NO TITLE

ほんとだ。もう一回読んだら、釣り友で、釣り場に向かうのに横横線をよく使うとは書いてあるけれど、釣りに出かけたとは書いてないね。こりゃ一本取られたな!

まあそんな事より、おじさんも若くて美人な娘さんにアクセスしたいなぁ。
[ 2015/03/19 ] ◆-

[ 84290 ] NO TITLE

肝試し中の解説が詳しすぎる。
父から聞いた話に興味を持ち、肝試しを企画した当事者でもある?
[ 2015/05/31 ] ◆-

[ 84293 ] NO TITLE

この声が聞こえたら アクセスしてほしい~♪
[ 2015/05/31 ] ◆-

[ 115827 ]

君の心に今すぐアクセス
[ 2016/07/26 ] ◆-

[ 115837 ] NO TITLE

アクセス・サクセス・アイテム!
[ 2016/07/26 ] ◆-

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